全国労働衛生週間は、毎年10月1日から7日まで行われる、職場の労働衛生を見直す取り組みです。実施要綱の「総点検」の項目は、自社の健康管理の抜けや漏れを年に一度確かめる一覧としても使えます。
全国労働衛生週間とは、厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱し、各事業場が職場巡視や講習会などを通じて労働衛生への意識を高める取り組みのことです。昭和25年から毎年行われ、令和8年度で第77回を迎えました。
この記事でわかること
- 全国労働衛生週間の期間・目的と、令和8年度のスローガン
- 本週間と準備期間に、各事業場が行うこととされている事項
- 準備期間の「総点検」の重点事項と、人事・総務の担当者が確かめたい点
- 点検の結果を、次年度の健康施策の計画につなげる手順
※この記事の制度に関する内容は、厚生労働省「令和8年度全国労働衛生週間実施要綱」と同省の報道発表にもとづき2026年10月16日に確認しました。最新の内容は厚生労働省のホームページでご確認ください。
全国労働衛生週間の期間と目的
全国労働衛生週間は、10月1日から7日までの本週間と、9月1日から30日までの準備期間で構成されています。実施要綱では、労働衛生に関する意識を高め、事業場での自主的な労働衛生管理活動を通じて労働者の健康を確保することが、この取り組みの役割として説明されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本週間 | 10月1日から10月7日まで |
| 準備期間 | 9月1日から9月30日まで |
| 主唱者 | 厚生労働省、中央労働災害防止協会 |
| 実施者 | 各事業場 |
| 令和8年度のスローガン | ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場 |
出典:厚生労働省「令和8年度全国労働衛生週間実施要綱」
令和8年度の実施要綱では、一般健康診断の有所見率が上昇を続けていること、働く女性の健康問題への対応、過労死等や精神障害による労災支給決定件数の増加、熱中症や腰痛の増加などが、背景として挙げられています。そのうえで、女性の健康への対応、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりなどを、総合的に進めることとされています。
本週間と準備期間に行うこと
実施要綱では、各事業場で事業者と労働者が連携・協力して行う事項が、本週間と準備期間に分けて示されています。
本週間(10月1日〜7日)に行う事項
- 事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視
- 労働衛生旗の掲揚、スローガン等の掲示
- 労働衛生に関する優良職場・功績者等の表彰
- 緊急時の災害を想定した実地訓練等
- 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他の意識を高める行事
準備期間(9月1日〜30日)に行う事項
準備期間には、日常の労働衛生活動の「総点検」を行うこととされています。点検の項目は、重点事項のほか、化学物質や石綿による健康障害の防止など、業種や作業によって関係するものまで幅広く並んでいます。
本週間の行事は10月の1週間で終わりますが、準備期間の総点検の項目は、そのまま1年間の健康管理を見直す一覧として使えます。準備期間に点検できなかった場合も、本週間の後に同じ項目で確かめることができます。
総点検の重点事項:人事・総務が確かめたい7つの点
令和8年度の実施要綱の重点事項のうち、オフィスワークが中心の会社でも関係しやすいものを、確かめたい点とあわせて整理します。
| 重点事項 | 確かめたい点の例 |
|---|---|
| 労働者の健康の保持増進 | 健康づくりの体制と計画があるか、健康教育を行っているか |
| 女性の健康課題の理解促進 | 健康教育や相談体制を整えているか |
| 治療と仕事の両立支援 | 基本方針を示しているか、相談窓口と休暇・勤務制度が整っているか |
| メンタルヘルス対策 | 心の健康づくり計画の策定と評価、ストレスチェックの実施と集団分析の活用 |
| 過重労働による健康障害の防止 | 時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進、労働時間の状況の把握 |
| 熱中症の予防 | 夏に行った対策の振り返り |
| 小規模事業場の産業保健活動 | 健康診断結果に基づく事後措置、地域産業保健センターなどの活用 |
出典:厚生労働省「令和8年度全国労働衛生週間実施要綱」をもとに作成
健康の保持増進は「体制と計画」から
実施要綱では、「事業場における労働者の健康保持増進の指針」等を踏まえて、健康保持増進のための体制の確立や計画の策定、適切な健康教育の実施を確かめることとされています。運動や食事の施策を行っている場合も、誰が担当し、どの計画にもとづいて行っているかを確かめておくと、施策が単発で終わりにくくなります。
メンタルヘルス対策は「計画・実施・評価」のつながりを見る
メンタルヘルス対策では、衛生委員会等での調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定と、実施状況の評価・改善が挙げられています。ストレスチェックを行っている場合は、結果の集団分析と、それを活用した職場環境の改善まで進めているかを確かめます。制度の概要は「ストレスチェック制度とは?対象・流れと2028年からの義務化を解説」、研修の選び方は「メンタルヘルス研修の選び方:セルフケアとラインケアの違い」で解説しています。
熱中症は「夏の振り返り」として点検する
熱中症の予防では、改正労働安全衛生規則に基づく措置義務の徹底や、その年の夏に実施した対策の確認が挙げられています。秋に振り返っておくと、翌年の夏の準備に反映しやすくなります。職場の熱中症対策は「職場の熱中症対策とは?2025年6月施行の義務と3つの対応」で整理しています。
点検の結果を、衛生委員会と次年度の計画につなげる手順
手順1:重点事項ごとに現状を書き出す
上の表の重点事項ごとに、自社で行っていること、記録が残っていること、まだ行っていないことを書き出します。業種や作業によって関係する項目は、実施要綱の本文で確かめます。
手順2:手元のデータと照らして、優先する項目を決める
書き出した項目を、健康診断の結果や、ストレスチェックの集団分析の結果など、手元にあるデータと照らし合わせます。データで課題が見えている項目と、点検で取り組みが足りないと分かった項目が重なる所から手をつけると、社内で説明しやすくなります。
手順3:衛生委員会で調査審議し、確かめる回を決めておく
優先する項目は、衛生委員会などで調査審議し、毎月の委員会のどの回で進み具合を確かめるかを決めておきます。翌年の準備期間(9月)の回を、1年の取り組みを総点検の項目で振り返る回として予定に入れておくと、毎年の点検が習慣になります。健康経営優良法人の申請を予定している場合は、「健康経営優良法人とは?認定の区分と、申請までの年間スケジュール」もあわせてご確認ください。
健康づくりの施策を、点検できる形で続けるには
総点検で「健康の保持増進」の項目を確かめるときに困りやすいのは、施策を行ったことは分かっても、その結果がどうだったかを示す記録が残っていないことです。
ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。毎月同じ項目で確かめた記録は、翌年の総点検や衛生委員会での報告の材料としても使えます。
職場の健康管理の見直しを相談したい方へ
総点検で見えた課題をもとに、次年度に優先する健康施策の整理について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。
よくある質問(Q&A)
Q. 全国労働衛生週間に参加するには、届け出が必要ですか?
A. 実施要綱には、事業場が参加するために届け出る手続きは示されていません。実施要綱では、各事業場が実施者とされています。行事や点検の内容は、各事業場で事業者と労働者が連携・協力して行うものとして示されています。手続きなどの詳細は、厚生労働省や所轄の労働局・労働基準監督署の案内でご確認ください。
Q. 本週間(10月1日〜7日)を過ぎてから点検してもよいですか?
A. 準備期間の総点検の項目は、日常の労働衛生活動を見直すためのものです。本週間を過ぎた後でも、同じ項目で自社の取り組みを確かめることは、次年度の計画づくりに役立ちます。
Q. 総点検の項目が多く、何から手をつければよいか分かりません。
A. まずは、健康の保持増進、メンタルヘルス対策、過重労働の防止など、自社に関係する重点事項から確かめる進め方が考えられます。健康診断やストレスチェックの集団分析の結果と照らし合わせると、優先度を判断しやすくなります。
Q. 全国安全週間とは違うものですか?
A. 違う取り組みです。全国安全週間は、労働災害の防止を目的とした取り組みで、令和8年度は7月1日から1週間行われました。全国労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する取り組みです。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度『全国労働衛生週間』を10月に実施」(2026年7月31日)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74929.html (2026年10月16日確認)
- 厚生労働省「令和8年度全国労働衛生週間実施要綱」https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001729983.pdf (2026年10月16日確認)
- 厚生労働省「令和8年度『全国安全週間』を7月に実施」(2026年3月27日)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71713.html (2026年10月16日確認)
この記事の著者・監修
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月16日

