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ウォーキング・ランニングを福利厚生に:参加の仕組みと暑さ対策

ウォーキング・ランニングを福利厚生に:参加の仕組みと暑さ対策

ウォーキングやランニングを福利厚生にするときは、全員に同じ目標を課さずに参加の裾野を広げる仕組みと、暑い日に実施するかを暑さ指数で判断する決まりを、先に作っておくことが大切です。

ウォーキングやランニングは、特別な設備がなくても始められ、一人でも仲間とでも取り組めるため、福利厚生や健康施策として取り入れやすい運動です。一方で、屋外で行う施策は、参加する人が一部に偏りやすいことや、夏場の暑さへの備えが欠かせないことなど、設計の段階で考えておきたい点があります。この記事では、人事・総務・健康経営の担当者が、屋外の運動施策の形を決め、暑い時期も含めて無理なく運用できるかを判断できるよう、進め方と注意点を整理します。

身体活動とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを使う、体を動かす活動全般のことです。通勤や家事、仕事中の移動などの「生活活動」と、健康や体力づくりのために計画的に行う「運動」の両方を含みます。ボディパレットでは、歩く・走るといった身近な運動ほど、参加の仕組みと安全の決まりを先に整えることで、多くの社員に届く施策になると考えています。

この記事でわかること

  • 国のガイドが示す身体活動の目安と、歩くことの位置づけ
  • ウォーキング・ランニング施策の主な形と選び方
  • 参加を一部の人に偏らせないための仕組み
  • 暑い時期に実施するかどうかを判断する目安
  • けがや歩数データの扱いなど、運用上の確認点

※この記事の指針・制度に関する内容は、厚生労働省および環境省の公表資料にもとづき2026年9月28日に確認しました。本記事は職場での施策の進め方を説明するもので、特定の運動の効果や、病気の予防・治療について説明するものではありません。持病のある方や、体を動かすことに不安のある方は、事前に産業医や医療機関にご相談ください。

国のガイドが示す身体活動の目安

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に向けて、歩行またはそれと同等以上の強さの身体活動を1日60分以上行うことが推奨されています。歩数にすると、1日約8,000歩以上に相当するとされています。あわせて、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うこと、筋力トレーニングを週2〜3日行うこと、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意することも示されています。

項目ガイドの推奨(成人)
身体活動歩行またはそれと同等以上の強さで1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)
運動息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
筋力トレーニング週2〜3日
座位行動座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

ここで注目したいのは、推奨の中心が「歩くこと」に置かれている点です。ウォーキングは、この目安を日々の生活の中で満たしていくための身近な手段といえます。ランニングは、息が弾む程度の「運動」の目安に近い取り組みとして位置づけられます。

ただし、ガイドでは、体力や健康状態には個人差があるため、強さや量を調整し、できることから取り組むことが大切だとされています。今より少しでも多く体を動かすことが出発点であり、全員に同じ歩数や距離を求める必要はありません。施策を設計するときも、「目標を達成した人」だけでなく「前より少し動くようになった人」を支える形にしておくと、参加の幅が広がります。

ウォーキング・ランニング施策の主な形

屋外の運動施策は、大きく次の3つの形に分けられます。自社の働き方や拠点の数に合わせて、一つを選ぶか、組み合わせて使います。

形内容の例向いている職場
期間を決めたイベント1〜2か月の間、個人やチームで歩数を記録し、期間の終わりに結果を共有する拠点が多い、在宅勤務が多いなど、同じ場所に集まりにくい職場
集まって行う会昼休みや終業後に、決まったコースを一緒に歩く・走る同じ事業所で働く人が多い職場
日常の移動に組み込むひと駅分歩く、階段を使うなど、通勤や社内の移動で歩く機会を増やす呼びかけ施策にかけられる時間が少ない職場

歩数を記録する形では、スマートフォンの歩数計アプリや、ウェアラブル端末を使う方法が一般的です。どの端末でも参加できるようにしておくと、特定の機器を持っていない人が参加しにくくなることを防げます。

参加を一部の人に偏らせないための仕組み

ウォーキングやランニングの施策は、もともと運動の習慣がある人ほど参加しやすく、運動から遠ざかっている人には届きにくい傾向があります。施策の目的が社員全体の健康づくりであれば、次のような工夫で参加の幅を広げることを検討します。

1.目標を一つにしない

「1日8,000歩」のような一つの目標だけを置くと、達成が難しい人は最初から参加をあきらめがちです。「今より1日1,000歩増やす」「週に1回、昼休みに歩く」など、いくつかの段階の目標を用意し、本人が選べるようにします。

2.チームで取り組む形にする

個人の順位を競う形は、上位の人には励みになる一方で、下位になりやすい人の参加意欲を下げるおそれがあります。部署やくじ引きで分けたチームの合計や平均で取り組む形にすると、一人ひとりの歩数の差が目立ちにくくなり、職場の会話のきっかけにもなります。

3.管理職に参加してもらう

厚生労働省の情報シート「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」では、組織のリーダーが率先して活動的に過ごすことで、体を動かしやすい雰囲気ができると説明されています。施策を始める前に、各部署の管理職に目的を伝え、参加をお願いしておきます。

4.記録を見直しに使う

部署ごとの参加人数や、期間の途中でやめた人の割合などを記録しておくと、次に実施するときの見直しに使えます。あわせて、参加しなかった理由を短いアンケートで聞いておくと、時間帯や形を変えるヒントが得られます。

暑い時期に実施するかどうかの判断

屋外の施策で特に注意したいのが、夏場の暑さです。環境省の熱中症予防情報サイトでは、湿度・日射・気温を取り入れた「暑さ指数(WBGT)」が、地点ごとに予測値とともに公表されています。同サイトでは、運動に関する指針として、日本スポーツ協会の指針が次のように紹介されています。

暑さ指数(WBGT)運動に関する指針の区分
31以上運動は原則中止
28以上31未満厳重警戒(激しい運動は中止)
25以上28未満警戒(積極的に休憩)
21以上25未満注意(積極的に水分補給)
21未満ほぼ安全(適宜水分補給)

出典:環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」(運動に関する指針は、日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)による)

同じ指針では、体力の低い人や暑さに慣れていない人などは、暑さに弱いとされ、厳重警戒の区分では運動を軽くするか中止することが示されています。ランニングのように体温が上がりやすい運動は、ウォーキングよりも注意が必要です。

また、環境省は、熱中症の危険が高くなると予測される日に「熱中症警戒アラート」を発表しています。2026年度は4月22日から10月21日まで運用され、暑さ指数が33以上になると予測される場合に、前日の午後5時と当日の午前5時に発表されます。さらに危険な暑さが予測される場合には「熱中症特別警戒アラート」が発表され、その際には、管理者が運動やイベントの中止・延期・変更などを判断することが求められています。

社内の施策として実施する場合は、次のような決まりを事前に作り、参加者に知らせておくと、当日に迷わずに判断できます。

  • 実施の前日と当日の朝に、開催地の暑さ指数の予測と、警戒アラートの発表の有無を確かめる
  • 暑さ指数が一定の値を超える場合は、中止や屋内・オンラインへの切り替えにすることを決めておく
  • 夏場は、朝や夕方など比較的涼しい時間帯に移す、または期間中の記録に屋内での歩行も含められるようにする
  • 飲み物の用意、休憩の取り方、体調が悪くなったときの連絡先を事前に案内する

業務として暑い場所で行う作業に対する事業者の義務(報告体制の整備や対応手順の作成など)については、職場の熱中症対策の記事で整理しています。屋外の運動施策の手順を作るときも、あわせて参考にしてください。

運用の前に確認しておきたいこと

  • 持病のある人への配慮:心臓や血圧の病気、関節の痛みなどで体を動かすことに不安がある人には、参加前に産業医や主治医に相談するよう案内します。参加しないことで不利な扱いを受けないようにします。
  • けがをしたときの扱い:社内イベント中のけがが労災保険の対象になるかどうかは、参加が業務として扱われるか、会社の指示があったかなど、個別の事情によって判断されます。任意参加の施策と業務の区別をどうするか、通勤の途中で歩く取り組みを呼びかける場合の扱いも含めて、事前に所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認しておくと安心です。
  • 歩数データの扱い:歩数や移動の記録は、個人の健康や行動に関わる情報です。何の目的で集め、誰が見るのかを事前に示し、本人の同意を得てから集めます。部署ごとの集計など、施策の見直しに必要な範囲にとどめ、人事評価には使わないことを伝えておきます。
  • 安全な場所とコース:集まって歩く・走る場合は、交通量の多い道や段差の多い場所を避け、夜間は明るさにも注意してコースを選びます。

組織ごとの状態に合わせて施策を組み合わせるには

ウォーキングやランニングは、それだけで全社の健康課題に応えられるものではありません。部署によっては、座りすぎの解消よりも睡眠や疲れの回復が課題になっていることもあります。施策の効果を見ながら、組織ごとに運動や生活習慣の取り組みを組み合わせていく考え方が大切です。

ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。屋外の運動施策の設計や、季節に合わせた見直しについても、お気軽にご相談ください。

屋外の運動施策の設計を相談したい方へ
参加を広げる仕組みづくりや、暑い時期の運用の決め方について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。

よくある質問(Q&A)

Q. 歩数の目標は、何歩に設定すればよいですか?

A. 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人の身体活動の目安として1日約8,000歩以上に相当する量が示されています。ただし、体力や健康状態には個人差があるため、一律の目標にせず、「今より少し増やす」などの段階的な目標を選べるようにすると、参加しやすくなります。

Q. 夏の間は、屋外の施策を休むべきですか?

A. 一律に休む必要はありませんが、実施するかどうかを判断する決まりを事前に作っておくことをおすすめします。環境省の熱中症予防情報サイトで暑さ指数の予測や警戒アラートを確かめ、一定の値を超える日は中止する、時間帯を朝夕に移す、屋内やオンラインに切り替えるなどの対応を決めておきます。

Q. 施策の最中にけがをした場合、労災になりますか?

A. 参加が業務として扱われるかどうかなど、個別の事情によって判断されます。施策を始める前に、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認しておくと安心です。

参考資料

この記事の著者・監修

執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

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