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福利厚生にピラティスを取り入れるには?ほかの運動との違いと導入法

福利厚生にピラティスを取り入れるには?ほかの運動との違いと導入法

ピラティスは、マットがあれば少人数やオンラインでも行える運動施策の一つです。取り入れるなら、目的と対象を決め、期間を区切って試してから広げる進め方が向いています。

ピラティスとは、呼吸に合わせて、体の中心部(体幹)を意識しながら全身を動かしていくエクササイズです。

この記事でわかること

  • ピラティスの成り立ちと、公的機関・学術情報での説明
  • ストレッチ・ヨガ・ウォーキングなど、ほかの運動施策との違い
  • 施策としてピラティスが合う職場と、合いにくい職場
  • 導入の形式の選び方と、始めるまでの進め方
  • 実施するときの注意点

※この記事の運動の説明と強度の数値は、厚生労働省の公表資料と、公表されている学術論文にもとづき2026年9月28日に確認しました。本記事は運動施策の選び方を説明するもので、特定の運動の効果や、痛み・病気の治療について説明するものではありません。持病やけがのある方、妊娠中の方は、始める前に医療機関や産業医等にご相談ください。

ピラティスの成り立ちと、公的機関・学術情報での説明

厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」(現在は公開を終了)では、ピラティスは、ドイツの従軍看護士ジョセフ・H・ピラティス氏が、第一次世界大戦の負傷兵のリハビリテーションのために1900年代のはじめごろ開発した、ヨガや太極拳の要素を取り入れたエクササイズと説明されていました。同じ説明では、姿勢の維持やバランスにかかわる体幹の深い部分の筋肉(インナーマッスル)を鍛えることを目標としている点が特徴として挙げられています。

ピラティスには、床にマットを敷いて行う方法と、専用の器具を使う方法があります。

学術論文での扱いも見ておきます。ピラティスを扱った119本の論文を調べた2012年の系統的レビュー(Wells ほか)では、ピラティスは、筋力、体幹の安定、柔軟性、筋肉のコントロール、姿勢、呼吸に重点を置く「心と体をつなぐ運動(マインドボディ・エクササイズ)」として、おおむね共通して定義されているとまとめられています。行い方は、マットの上で行うものと、専用の器具を使うものがあることも示されています。

効果については、慎重に読む必要があります。腰痛のある人を対象とした研究をまとめたコクラン・レビュー(2015年)では、何もしない、またはごく軽い対応と比べると、痛みなどが小さく改善したとの報告がある一方で、根拠の質は低いから中程度にとどまり、ほかの運動より優れているという結論は得られていないとされています。ピラティスは「特別な効果がある運動」として選ぶものではなく、ほかの運動と並ぶ選択肢の一つとして、社員が続けやすいかどうかで選ぶのが現実的です。

ほかの運動施策との違い

運動施策を比べるときは、「どのくらいの強さの運動か」と「どこで、どのように参加するか」の2つの軸で整理すると、違いが見えやすくなります。

運動の強さについては、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に掲載されている運動のメッツ表が参考になります。メッツは、安静に座っている状態を1としたときに、その運動で何倍のエネルギーを使うかを表す単位です。

運動メッツ(運動の強さの目安)
ストレッチング2.3
ヨガ2.5
ピラティス3.0
ラジオ体操第14.0
やや速歩(平地、やや速めに=93m/分)4.3

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」運動のメッツ表(国立健康・栄養研究所「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表」より改変)から抜粋

同じガイドでは、成人に向けて、息が弾み汗をかく程度以上(3メッツ以上)の運動を週60分以上行うことや、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。メッツ表の上では、ピラティスはストレッチやヨガより少し強く、3メッツ以上の運動の例に入っています。ただし、同じピラティスでも、内容や一人ひとりの体力によって実際の強さは変わります。表の数値は、施策を比べるときの目安として使うのが適切です。

参加の仕方も含めて、主な運動施策の特徴を並べると次のようになります。

施策特徴向いている場面
オフィスでのストレッチ着替えや道具がいらず、数分から行える座り仕事の合間に、まず体を動かす習慣をつくりたい
ヨガポーズと呼吸、ゆったりした動きが中心で、始めやすい運動が得意でない人も含め、幅広い層に参加してもらいたい
ピラティス呼吸に合わせて体幹を意識しながら動き続ける。マットがあれば行える軽い運動より少し強めの内容を、少人数・オンラインでも行いたい
ウォーキングイベント業務時間外に各自のペースで取り組める拠点や勤務時間がばらばらな社員に、同時に呼びかけたい
ジムの利用補助内容を社員が自由に選べるすでに運動の習慣がある社員を支えたい

ヨガとの違いについては、e-ヘルスネットで、ヨガが静止した姿勢(ポーズ)を随所に用いるのに対し、ピラティスは体が常に流れるように動いている状態をつくること、呼吸法も異なること(ヨガは腹式呼吸、ピラティスは胸式呼吸)が説明されていました。ヨガを施策として取り入れる方法は、別の記事「福利厚生にヨガを取り入れるには?参加しやすい形式と運用のコツ」で詳しく扱っています。

ピラティスが合う職場と、合いにくい職場

どの運動施策にも、合う職場と合いにくい職場があります。ピラティスを候補にするときは、次の点を確かめておくと判断しやすくなります。

合いやすい職場の例

  • ストレッチなど軽い施策はすでにあり、次の段階として少し運動らしい内容を加えたい
  • 在宅勤務の社員が多く、自宅でマットを敷けば参加できる形にしたい
  • 決まった時刻に、少人数で継続して行う枠を設けられる

合いにくい職場の例

  • 着替えや床に寝転ぶ動きが難しい環境で、席の近くでしか行えない
  • 運動の経験が少ない社員が多く、まずは参加のハードルを下げたい段階にある
  • 講師や進行役を置く時間の枠を確保しにくい

合いにくい条件がある場合は、ストレッチや座ったままできる運動から始め、参加が定着してからピラティスを加えるという順番も考えられます。一つの運動に絞るより、強さや参加の仕方が違う施策を組み合わせる方が、多くの社員に届きやすくなります。

導入の形式の選び方

ピラティスを福利厚生・健康施策として取り入れる形式は、主に次の4つです。

形式内容検討するときの観点
講師の派遣会議室などに講師を招いて行う床にマットを敷ける広さ、着替えの場所、参加者の人数
リアルタイムのオンライン決まった時刻に配信し、講師と一緒に行う在宅・拠点の社員も参加できる。自宅でマットを敷く場所があるか
録画の動画好きな時間に動画を見て行う時間を選ばない一方、一人では続きにくいことがある
外部施設の利用社員がスタジオなどに通う通える範囲に施設があるか、利用手続きの手間

専用の器具を使うピラティスは、器具のある施設に通う形になるため、オフィスや自宅ではマットで行う内容が中心になります。形式を選ぶときは、「どの社員に届けたいか」から考えると、候補を絞りやすくなります。例えば、在宅勤務の多い部署に届けたいならオンライン、同じ事業所に集まる部署なら講師の派遣、というように決めていきます。

始めるまでの進め方

手順1:目的と対象を決める

「座りすぎへの対策の次の段階として」「在宅勤務の社員が体を動かす機会として」など、施策の目的と対象を先に決めます。目的が決まっていると、ほかの運動施策との役割の分け方も説明しやすくなります。

手順2:期間を区切って試す

まずは1つの部署や希望者を対象に、1〜3か月など期間を区切って試します。時間帯や1回の長さ、参加の形を試しながら、続けやすい条件を探します。

手順3:時間の扱いと参加のルールを決める

業務時間内に行うのか、休憩時間や業務時間外に任意で参加するのかを決めておきます。時間の扱いによって、案内の出し方や記録の仕方が変わります。業務時間内に行う場合は、就業規則とあわせて社会保険労務士等の専門家に確認しておくと安心です。

手順4:参加の状況を記録して見直す

参加した人数や回数を部署単位で記録し、短いアンケートで続けやすさや続けにくい理由を聞きます。記録は施策を見直すためのものであり、個人の評価には使わないことを社員に伝えておきます。

実施するときの注意点

  • 体調に配慮する:持病やけががある人、妊娠中の人など、体を動かすことに不安がある人には、始める前に医療機関や産業医等に相談するよう案内します。
  • 無理をしない:痛みや違和感があれば中止すること、できる動きだけ行ってよいことを、毎回の案内に書いておきます。
  • 強制しない:参加は本人の意思によるものとし、参加しないことで不利な扱いを受けることがないようにします。
  • 医療の判断はしない:講師や社内の担当者が、個人の症状の原因を判断したり、治療のための運動として勧めたりすることは避けます。体の不調の相談があった場合は、産業医等の産業保健スタッフや医療機関につなぎます。
  • 効果を約束しない:社内の案内で、体の不調や姿勢について効果を断定する書き方は避けます。施策の目的は、体を動かす機会を用意することにあると伝えます。
  • 場所と安全を確かめる:マットを敷く広さ、床の滑りやすさ、周りの机やいすとの距離を事前に確かめます。

働く場所が分かれている会社で、運動の機会を届けるには

拠点が複数ある会社や在宅勤務の多い会社では、対面の施策だけでは参加できる社員が限られます。オンラインの形を組み合わせると、働く場所にかかわらず参加できる範囲を広げられます。

ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。平日の朝や土曜日に、拠点や在宅からも参加できるオンラインの運動プログラムもあります。ピラティスを含めて、自社に合う運動施策の組み合わせ方についてもご相談いただけます。

自社に合う運動施策を選びたい方へ
ストレッチ・ヨガ・ピラティスなどの選び方や、対象部署・時間帯の決め方について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。

よくある質問(Q&A)

Q. ピラティスとヨガは、どちらを選べばよいですか?

A. どちらが優れているというものではありません。厚生労働省のメッツ表では、ヨガは2.5メッツ、ピラティスは3.0メッツとされ、ピラティスの方が少し強い運動の例として挙げられています。運動の経験が少ない社員が多い段階ではヨガやストレッチ、少し運動らしい内容を加えたい段階ではピラティス、というように、社員の状況と目的に合わせて選ぶことをおすすめします。

Q. 専用の器具がなくても行えますか?

A. ピラティスには、マットの上で行う方法と、専用の器具を使う方法があります。オフィスや自宅で行う場合は、マットで行う内容が中心になります。器具を使う内容は、器具のある施設に通う形になります。

Q. 腰痛のある社員に勧めてもよいですか?

A. 会社として、特定の症状のある社員に治療のための運動として勧めることは避けてください。腰痛に関する研究のまとめでは、ピラティスがほかの運動より優れているという結論は得られていないとされています。体に痛みや持病がある社員には、参加の前に医療機関や産業医等に相談するよう案内してください。

参考資料

この記事の著者・監修

執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

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