交流と健康づくりを兼ねる施策は、誰と誰の交流を増やしたいかと社員の働き方から型を選び、参加を強いない形で小さく始めると続けやすくなります。
社内コミュニケーションを活性化する健康施策とは、一緒に体を動かす、健康を話題にするといった健康づくりの活動を通して、社員どうしが言葉を交わすきっかけもつくる取り組みです。
この記事でわかること
- 職場のコミュニケーションが、健康づくりのテーマとして扱われる理由
- 健康経営優良法人の評価項目のうち、関係する項目
- 交流と健康づくりを兼ねる施策の主な型と、自社に合う型を選ぶ4つの観点
- 参加を強いないために気をつけたいこと
※この記事の指針・統計・認定要件に関する内容は、厚生労働省と健康経営優良法人認定事務局の公表資料にもとづき2026年9月28日に確認しました。本記事は職場での施策の選び方を説明するもので、個人の心身の状態を判断したり、特定の施策の効果を保証したりするものではありません。体調や心の不調について不安のある方は、産業医等の専門家や医療機関にご相談ください。
職場のコミュニケーションが健康づくりのテーマになる理由
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、働く人の心の健康には、仕事の量と質や労働時間に加えて、職場の人間関係や、職場の文化・風土も影響を与えるとされています。そのうえで、職場のレイアウト、作業方法、コミュニケーション、職場組織の改善などを通じた職場環境等の改善は、心の健康の保持増進に効果的であるとされ、事業者は不調の未然防止の観点から積極的に取り組むものとされています。
職場環境等の改善とは、仕事の量や進め方、職場の人間関係、組織の体制、職場の風土など、働く人の心の健康に影響する職場の条件を見直し、整えていく取り組みのことです。厚生労働省の指針では、メンタルヘルスケアの柱の一つに位置づけられています。
働く人の実感も、統計で確かめることができます。厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%でした。その内容(主なもの3つ以内)では、「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」(いずれも39.5%)に次いで、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9%となっています。一方で、ストレスを相談できる人がいる労働者は94.8%で、相談できる相手は「家族・友人」(74.8%)が最も多く、次いで「上司」(63.8%)でした。女性では「家族・友人」に次いで「同僚」が68.6%となっています。職場の人間関係は、ストレスの原因にも、相談の支えにもなりうることがうかがえます。
体を動かすことについても、同じように職場の関わりが指摘されています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでは、職場で体を動かすことを個人の努力だけに任せるのは難しい面があるとし、組織のリーダーが率先して活動的に過ごすことで、組織全体に体を動かしやすい雰囲気ができると説明されています。
このように、職場の交流と健康づくりは、どちらも「個人に任せきりにせず、職場として場を整える」ことが求められる点で共通しています。両方を兼ねる施策は、この考え方に沿った選択肢の一つといえます。
健康経営優良法人の評価項目での位置づけ
健康経営優良法人2027の認定要件では、大規模法人部門・中小規模法人部門のどちらにも、次の評価項目が設けられています。
| 評価項目 | 認定要件の中での位置 |
|---|---|
| ⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み | 「健康経営の実践に向けた土台づくり」のうち「職場の活性化」 |
| ⑬運動機会の増進に向けた取り組み | 「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」のうち「具体的な健康保持・増進施策」 |
出典:健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件」「同(中小規模法人部門)認定要件」をもとに作成
どちらも、複数の評価項目のうち一定数以上を満たす形の選択項目です。必要な項目数や、どの取り組みがどの設問に当たるかは部門によって異なるため、申請の際は、認定事務局が公表している最新の認定要件と、健康経営度調査票(大規模法人部門)または申請書(中小規模法人部門)の設問で確かめてください。
認定を目指すかどうかにかかわらず、この2つの項目は「職場の交流」と「体を動かす機会」を会社の取り組みとして考えるときの目安になります。
交流と健康づくりを兼ねる施策の主な型
交流と健康づくりを兼ねる施策は、主に次の5つの型に分けて考えると比べやすくなります。
| 型 | 取り組みの例 | 交流の生まれ方 | 向いている職場 |
|---|---|---|---|
| 短い健康の話題 | 朝礼や定例会議の冒頭で、睡眠や食事などの話題に1〜2分ふれる | 同じ部署の中で、仕事以外の話をするきっかけになる | 毎日・毎週そろう場がある職場 |
| 一緒に体を動かす | 始業前や会議の前後に行うストレッチ、オンラインの運動の時間 | 同じ時間に同じ動きをすることで、声をかけ合いやすくなる | 対面でもオンラインでも、決まった時刻に集まれる職場 |
| チームでの歩く企画 | 部署や有志のチームで、期間を決めて歩く機会を増やす | チームの中で進み具合を話題にできる | 拠点や勤務時間がばらばらでも取り組みたい職場 |
| 社内の掲示板・チャット | 健康の話題を投稿できる場所をつくる | 時間や場所を問わず、部署をこえて反応し合える | 在宅勤務や拠点の多い職場 |
| 部署をまたぐ催し | 健康をテーマにしたセミナーや体験会を、部署を混ぜて行う | ふだん話さない人どうしが知り合う機会になる | 部署間の交流を増やしたい職場 |
1つの型だけで全社員に届けようとせず、たとえば「部署の中の交流は短い健康の話題で、部署をまたぐ交流はオンラインの運動の時間で」のように、目的に合わせて組み合わせる考え方もあります。
自社に合う型を選ぶ4つの観点
1.誰と誰の交流を増やしたいか
部署の中の関係を深めたいのか、部署や拠点をまたいだつながりを増やしたいのかで、合う型が変わります。部署の中なら日常の場に組み込む型、部署をまたぐなら参加者を混ぜて行う型が向いています。
2.社員の働き方に合っているか
拠点、在宅勤務、シフト勤務などの働き方ごとに、参加できる時間と場所を確かめます。対面だけの施策にすると、参加できる社員が偏ることがあります。オンラインや、好きな時間に参加できる形を組み合わせると、参加できる人の範囲を広げやすくなります。
3.参加の負担が小さいか
着替えや移動が必要か、体力や運動経験の差が出やすい内容か、どのくらいの時間がかかるかを確かめます。短い時間で、席の近くや自宅でもできる内容の方が、忙しい社員も参加しやすくなります。
4.見直しに使える記録を残せるか
参加人数や参加が続いている人の割合を、部署や働き方ごとに記録できるかを確かめます。あわせて、参加しやすさや参加しにくい理由を短いアンケートで聞いておくと、型の組み合わせを見直すときの材料になります。
参加を強いないための配慮
交流を目的にした施策は、進め方によっては「参加しないと浮いてしまう」という圧力につながりかねません。次の点をあらかじめ決めておきます。
- 任意参加を明示する:参加は本人の意思によるものとし、参加しないことを評価や処遇に結び付けないことを案内に書きます。
- 参加しにくい人に配慮する:持病やけが、妊娠中、障害などで体を動かすことに不安がある人、人前で話すことが苦手な人もいます。見学や、できる範囲だけの参加、投稿を読むだけの参加も認めます。
- 競い合う形は慎重に使う:歩数などを競う企画は盛り上がる一方で、体調や条件の違う人には負担になることがあります。個人の順位は出さず、チーム単位の合計や参加回数で示すなどの工夫が考えられます。
- 健康に関する情報の扱いを決める:体調や健康状態にふれる投稿やアンケートを扱う場合は、厚生労働省の手引きを参考に、社内の取扱規程に沿って扱う人と範囲を決めます。個人の健康情報を本人の同意なく共有しないことも、案内に書いておきます。
- 管理職の声かけは「参加してよい」を伝える形に:管理職が一緒に参加すると雰囲気をつくりやすい一方で、強い勧めは圧力と受け取られることがあります。
場所を選ばずに参加できる交流の機会をつくるには
拠点が複数ある会社や在宅勤務の多い会社では、同じ場所に集まる施策だけでは、交流の機会が一部の社員に偏りがちです。決まった時刻にオンラインで一緒に体を動かす時間を設けると、働く場所の違う社員どうしが顔を合わせるきっかけにもなります。
ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。平日の朝や土曜日に、拠点や在宅からも参加できるオンラインの運動プログラムもあります。自社の働き方に合う施策の組み合わせについて、お気軽にご相談ください。
交流と健康づくりを兼ねる施策を、どこから始めるか整理したい方へ
社員の働き方や拠点の状況に合わせた施策の選び方について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。
よくある質問(Q&A)
Q. コミュニケーションの施策と運動の施策は、別々に用意するべきですか?
A. 一律の決まりはありません。一緒に体を動かす時間のように、交流と健康づくりを兼ねる施策もあります。健康経営優良法人の申請では、取り組みがどの評価項目に当たるかは調査票や申請書の設問で確かめる必要があるため、申請を予定している場合は最新の認定要件とあわせて確認してください。
Q. 参加する社員がいつも同じ顔ぶれになってしまいます。
A. 部署や働き方ごとの参加人数を並べ、参加が少ない層を確かめます。そのうえで、時間帯、場所、内容のどれが合っていないのかをアンケートや聞き取りで確かめ、オンラインの形や短い時間の形を足すなど、入り口を増やす方向で見直します。
Q. 施策が交流につながっているかは、どう確かめればよいですか?
A. 参加人数や参加が続いている人の割合に加えて、「ほかの部署の人と話す機会が増えたか」「参加しやすかったか」などを短いアンケートで聞く方法があります。アンケートで健康状態にふれる場合は、社内のルールに沿って回答の扱いを決めておきます。
参考資料
- 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年3月31日、2015年11月30日改正)https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K151130K0020.pdf (2026年9月28日確認)
- 厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r07-46-50_gaikyo.pdf (第17表・第18表。2026年10月1日確認)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』情報シート:働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-006.html (2026年9月28日確認)
- ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件」https://kenko-keiei.jp/wp-content/themes/kenko_keiei_cms/files/2027_dai_ninteiyoken.pdf (2026年9月28日確認)
- ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件」https://kenko-keiei.jp/wp-content/themes/kenko_keiei_cms/files/2027_chu_ninteiyoken.pdf (2026年9月28日確認)
- 厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(2019年3月)https://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf (2026年9月28日確認)
この記事の著者・監修
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

