朝の短時間運動を職場で続けるには、時間帯・実施の形・時間の扱いを先に決め、在宅やシフト勤務の社員も参加できる形にしておくことが大切です。
始業前後の運動施策とは、仕事を始める前後の決まった時間に、ラジオ体操のような数分間の運動を職場で行う取り組みのことです。
この記事でわかること
- 朝の短時間運動が、国の指針の中でどのように位置づけられるか
- ラジオ体操を職場で使うときに確認しておきたいこと
- 実施する時間の扱いを先に整理しておく理由
- 始業前後の運動施策を設計する5つの手順と、勤務形態に合わせた工夫
※この記事の指針・ラジオ体操の楽曲の使用に関する内容は、厚生労働省、株式会社かんぽ生命保険、NPO法人全国ラジオ体操連盟の公表資料にもとづき2026年9月28日に確認しました。本記事は職場での施策の進め方を説明するもので、特定の運動の効果や、病気の予防・治療について説明するものではありません。実施時間の扱いは個別の事情で判断が分かれるため、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
国の指針から見た、朝の短時間運動の位置づけ
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に向けて、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)行うことや、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことなどが推奨されています。あわせて、個人差をふまえて強度や量を調整し、今より少しでも多く体を動かすという考え方も示されています。
数分間の体操だけで、こうした推奨量を満たすことはできません。一方で、「少しでも多く体を動かす」きっかけを、毎日決まった時刻に用意できる点は、職場で行う運動施策ならではの特徴といえます。
また、パソコンなどを使う作業については、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で、就業の前後や就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動などを行うことが望ましいとされています。朝の短時間運動は、この考え方を職場の仕組みとして形にする方法の一つとして位置づけられます。
ラジオ体操を職場で使うときに確認しておきたいこと
ラジオ体操とは、1928年に制定された体操をもとに、1951年(第一)と1952年(第二)に現在の形が定められた体操です。株式会社かんぽ生命保険が、日本放送協会(NHK)、NPO法人全国ラジオ体操連盟などと共同で普及に取り組んでいます。
朝の短時間運動として、多くの職場で選ばれているのがラジオ体操です。動きを知っている人が多く、説明や練習にかける時間が少なくて済むことが、取り入れやすさにつながっています。職場で使う前に、次の点を確認しておきます。
放送の時間帯
NHKとNPO法人全国ラジオ体操連盟の案内によると、2026年3月30日から、NHKのラジオ体操はNHK AMで放送されています。毎日午前6時30分からの放送のほか、平日は午前8時40分ごろと午後0時30分過ぎにも、それぞれ同じ時間帯の番組の中で放送されます。放送に合わせる場合は、始業時刻との関係を確かめておきます。
楽曲の使用
ラジオ体操の伴奏曲には権利者があり、かんぽ生命は楽曲の使用について申請の手続きを案内しています。かんぽ生命の案内では、職場の中でその場限り、かつ従業員だけの環境で音源を再生してラジオ体操第一を行うだけであれば、申請は不要とされています。申請不要とされているのはラジオ体操第一の場合で、第二を使う場合は、かんぽ生命の案内で手続きを確認します。また、動画の収録や配信、SNSへの投稿、ホームページへの掲載などの二次利用は、職場の中でも申請が必要とされています。オンラインで在宅勤務の社員に配信したい場合や、社内報・ホームページに動画を載せたい場合は、かんぽ生命の案内で必要な手続きを事前に確認してください。申請は、使用を始めたい日の1か月前を目安に行うよう案内されています。
実施する時間の扱いを、先に整理しておく
始業前後の運動施策で、あらかじめ決めておきたいのが、実施する時間を勤務時間として扱うかどうかです。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、就業規則などの定めによって決まるものではなく、客観的に見て指揮命令下にあったと評価できるかどうかで判断されると説明されています。参加が業務上義務づけられている研修なども、労働時間に当たる例として挙げられています。
このため、「始業前の自由参加の体操」としていても、実際には参加が求められている状態であれば、扱いが問題になる可能性があります。次のような点を整理したうえで、就業規則との関係を社会保険労務士等の専門家に確認しておくと安心です。
| 整理しておくこと | 確認のポイント |
|---|---|
| 実施する時刻 | 始業時刻の前か後か、休憩時間と重なっていないか |
| 参加の位置づけ | 全員参加か、希望者の参加か |
| 呼びかけ方 | 参加しないことが評価や業務上の扱いに影響しないか |
| 記録の仕方 | 出欠の記録を取るか、取る場合は何のために使うか |
時間の扱いを始業後の勤務時間内に置くと、参加の呼びかけをしやすく、全員が同じ条件で参加できるという考え方もあります。どちらを選ぶかは、自社の就業規則や働き方に合わせて判断します。
始業前後の運動施策を設計する5つの手順
手順1:目的と対象を決める
「体を動かすきっかけをつくる」「始業時に部署内で顔を合わせる機会をつくる」など、施策の目的を一文で決めておきます。目的が決まると、全社で行うのか、特定の部署や拠点で試すのかも選びやすくなります。
手順2:時間帯を決める
始業直後、朝礼の中、昼休み明け、終業前など、候補になる時間帯はいくつかあります。朝だけにこだわらず、業務の区切りに合わせて「1日に1回、必ずこの時刻に行う」と決めることが、続けやすさにつながります。
手順3:実施の形を決める
音源を再生して全員で行う形のほか、オンライン会議で同時に行う形、録画した動画を見ながら各自で行う形などがあります。ラジオ体操の楽曲を動画の収録や配信で使う場合は、前の節で触れた手続きの確認が必要です。ラジオ体操以外の体操や、講師が進行する短い運動プログラムを組み合わせる方法もあります。
手順4:進行役を決める
誰が始めの合図をするのかが決まっていないと、忙しい日から途切れがちになります。部署ごとに進行役を決め、交代で担当する仕組みにしておくと、特定の人に負担が偏りにくくなります。管理職が一緒に参加していると、ほかの社員も参加しやすくなります。
手順5:記録して見直す
部署ごとの参加人数や実施した日数を簡単に記録し、数か月ごとに見直します。参加しにくい理由を短いアンケートで聞いておくと、時間帯や形を変える判断材料になります。記録は施策を見直すためのものであり、個人の評価には使わないことを社員に伝えておきます。
勤務形態に合わせた工夫
同じ時刻に全員が集まれない職場では、形を組み合わせることで参加できる人の範囲を広げられます。
| 勤務形態 | 工夫の例 |
|---|---|
| 交代制・シフト制 | 勤務の始まりごとに実施の時刻を設け、班ごとに進行役を決める |
| 在宅勤務が多い | 朝のオンライン会議の最初の数分で行う、決まった時刻に配信する |
| 拠点が複数ある | 拠点ごとに時刻をそろえ、同じ内容を行う。拠点間で実施状況を共有する |
| 外回りや移動が多い | 動画を見ながら各自の都合の良い時間に行える形を用意する |
実施するときの注意点
- 強制しない:参加は本人の意思によるものとし、参加しないことで不利な扱いを受けないようにします。見学や、できる動きだけ行う参加の仕方も認めます。
- 体の状態に配慮する:持病やけが、妊娠中などで体を動かすことに不安がある人には、無理をしないこと、必要に応じて医師や産業医等に相談することを伝えます。
- 場所の安全を確かめる:腕を大きく回す、跳ぶといった動きがある場合は、周りの人や机・いすとぶつからない広さがあるかを事前に確かめます。
- 医療の判断はしない:社内の担当者が、個人の不調の原因を判断したり、治療のための運動を勧めたりすることは避け、産業保健スタッフや医療機関につなぎます。
- 暑さ・寒さに気をつける:屋外や空調のない場所で行う場合は、季節や天候に合わせて実施の場所や内容を見直します。
場所を選ばずに参加できる朝の運動を用意するには
在宅勤務や複数拠点の会社では、同じ場所に集まって体操をすること自体が難しい場合があります。そうした場合は、決まった時刻にオンラインで参加できる運動の機会を用意すると、働く場所による差を小さくできます。
ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。平日の朝や土曜日に、拠点や在宅からも参加できるオンラインの運動プログラムもあります。始業前後の時間帯や対象の選び方についても、ご相談いただけます。
始業前後の運動施策を、どう設計するか整理したい方へ
時間帯や実施の形の選び方、続けるための仕組みづくりについて、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。
よくある質問(Q&A)
Q. 職場でラジオ体操の音源を流すのに、申請は必要ですか?
A. かんぽ生命の案内では、職場の中でその場限り、かつ従業員だけの環境で音源を再生してラジオ体操第一を行うだけであれば、申請は不要とされています。ラジオ体操第二を使う場合や、動画の収録・配信、SNS投稿、ホームページ掲載などを伴う場合は手続きが必要になるため、使い方に合わせて、かんぽ生命の案内で事前に確認してください。
Q. 始業前に行う体操の時間は、勤務時間として扱う必要がありますか?
A. 一律には決まっていません。厚生労働省のガイドラインでは、使用者の指揮命令下にあったかどうかを客観的に見て判断するとされており、参加が事実上求められているかどうかなど、個別の事情によって扱いが変わる可能性があります。就業規則とあわせて、社会保険労務士等の専門家に確認することをおすすめします。
Q. 毎日続けるのが難しい場合は、どうすればよいですか?
A. 最初から毎日・全社で行わず、1つの部署で週に数回から始め、数週間ごとに時間帯や形を見直す方法があります。進行役を交代で決めておくと、忙しい日でも途切れにくくなります。
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月)https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf (2026年9月28日確認)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:成人版」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-002.html (2026年9月28日確認)
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」の一部改正について(基発1201第7号、2021年12月1日)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6314&dataType=1&pageNo=1 (2026年9月28日確認)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日策定)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html (2026年9月28日確認)
- 株式会社かんぽ生命保険「ラジオ体操の歴史」https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/abt_csr_rdo_history.html (2026年9月28日確認)
- 株式会社かんぽ生命保険「ラジオ体操・みんなの体操」https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/index.html (2026年9月28日確認)
- 株式会社かんぽ生命保険「ラジオ体操の楽曲使用について」https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/abt_csr_rdo_cr.html (2026年9月28日確認)
- 株式会社かんぽ生命保険「申請手続きについて」https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/abt_csr_rdo_cr_reg.html (2026年9月28日確認)
- NPO法人全国ラジオ体操連盟「NHKラジオ・テレビの放送時間」https://www.radio-exercises.org/taisou/tv (2026年10月1日確認)
- NHK広報局 公式X(2026年3月の投稿。NHK AMでのラジオ体操の放送時間)https://x.com/NHK_PR/status/2038015844769517571 (2026年10月1日確認)
この記事の著者・監修
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

