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健康データの見える化とは?健診結果を部署ごとの施策に使う方法

健康データの見える化とは?健診結果を部署ごとの施策に使う方法

健康診断の結果は、個人への通知と全社の集計で終わらせず、部署ごとに推移と差を並べると、どの部署から施策を始めるかを決める材料になります。

健康データの見える化とは、健康診断の結果や勤怠、アンケートなど、社内に散らばっている健康に関する情報を、比べられる形に整理して示すことです。

この記事でわかること

  • 健康データの見える化が必要とされる理由
  • 見える化に使える社内のデータと、それぞれの特徴
  • 部署ごとに比べるための集計の考え方
  • 健康情報を扱うときに守ること
  • 見える化から施策につなげる4つの手順

※この記事の統計・制度に関する内容は、厚生労働省の公表資料にもとづき2026年9月27日に確認しました。本記事は組織単位でデータを活用する考え方を説明するもので、個人の健康状態を診断するものではありません。個別の取り扱いは、産業医等の専門家にご確認ください。

健康データの見える化が必要とされる理由

厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査(令和7年)」によると、2025年の定期健康診断で何らかの所見があった人の割合(有所見率)は59.7%でした。項目別では、血中脂質が30.7%、血圧が18.7%、肝機能検査が16.0%となっています。

年有所見率
2021年58.7%
2022年58.3%※
2023年58.9%
2024年59.4%
2025年59.7%

出典:厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」第7表 定期健康診断実施結果(年次別)
※2022年は、同年10月の労働安全衛生規則の改正前後の有所見率を加重平均した推計値(同表の注記による)

この数値は、事業場から報告された健康診断の結果を全国で集計したもので、個々の会社の状態を示すものではありません。そのうえで、健康診断の結果は多くの会社にとって、毎年同じ項目で集まる数少ないデータです。受診して終わりにせず、組織の状態を確かめる材料として使えるかどうかで、施策の選び方が変わります。

見える化に使える社内のデータ

新しい調査を始める前に、まず手元にあるデータを確かめます。健康経営で使われることの多いデータには、次のようなものがあります。

データ特徴使うときの注意
健康診断の結果(集計値)毎年同じ項目で集まる。経年の比較がしやすい年1回のため、年の途中の変化は分からない
ストレスチェックの集団分析職場ごとのストレスの傾向が分かる人数の少ない単位は個人が推測されるため集計しない
勤怠・残業・休暇の取得毎月集まり、変化を早くつかみやすい健康状態そのものではなく、働き方の指標
休業・退職の件数組織への影響が大きい件数が少なく、個別の事情が大きい
施策の参加率施策が届いているかが分かる参加しない人の理由は別に確かめる必要がある
従業員アンケート体調や働きやすさを本人の感じ方で確かめられる設問と実施の間隔をそろえないと比較できない

健康診断のように年1回しか集まらないデータと、勤怠のように毎月集まるデータを組み合わせると、年間を通じた変化を追いやすくなります。

部署ごとに比べるための集計の考え方

1.集計の単位は「改善の担当を置ける単位」にする

見える化の目的は、施策の対象と優先順位を決めることです。そのため、部署・拠点・職種など、結果を受けて改善に取り組む担当者を置ける単位で集計します。

2.人数の少ない単位はまとめる

人数の少ない部署で集計すると、個人の結果が推測されるおそれがあります。集計の最小人数を社内のルールとして決め、それに満たない単位はほかの単位とまとめます。ストレスチェックの集団分析についても、特定の個人を識別できない方法で行うことが労働安全衛生規則に明記され、2027年4月1日から施行されます。

3.1回の値より、推移と差を見る

1回の結果だけでは、その部署の状態が良いのか悪いのかを判断しにくいものです。前年との比較や、全社平均との差を並べると、優先して確認すべき部署が見えてきます。

健康情報を扱うときに守ること

健康診断の結果などの健康情報は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に当たり、取り扱いには特に配慮が必要です。厚生労働省の「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(2019年3月)では、健康情報を取り扱う人を、人事に関して直接の権限を持つ人(社長・役員・人事部門の長)、産業保健スタッフ、管理監督者、人事部門の事務担当者に分け、それぞれが扱える情報の範囲を、衛生委員会などで労使が関わって定めるよう求めています。

見える化を始める前に、次の点を確かめておきます。

  • 取扱規程があるか:健康情報を誰が、どの範囲で、何の目的で扱うかが決まっているか
  • 扱う人ごとに範囲を分けているか:個人単位の情報を扱う人と、部署ごとの集計値だけを見る人を分けているか。産業保健スタッフがいない事業場で人事担当者が扱う場合は、取扱規程で守秘義務を定めることが望ましいとされています
  • 目的を従業員に伝えているか:データを組織の改善に使うこと、人事上の評価には使わないことを伝えているか

従業員が安心して情報を提供できる環境がなければ、アンケートなどの回答も集まりにくくなります。見える化の仕組みづくりは、データの扱い方のルールづくりと一緒に進めることが大切です。

見える化から施策につなげる4つの手順

手順1:確かめたいことを決める

「どの部署の負荷が高いか」「運動施策が届いているか」など、見える化で確かめたいことを先に決めます。目的が決まらないままデータを集めると、集計表が増えるだけで判断に使われにくくなります。

手順2:手元のデータを部署単位で並べる

手順1の目的に合うデータを、部署単位で並べます。足りないデータがあれば、そのときに初めて新しい調査を検討します。

手順3:優先する部署とテーマを決め、管理職と背景を確かめる

推移や差から、優先して確認する部署とテーマを決めます。数値の背景には、業務量や人員の変化など、現場でしか分からない事情があることが多いため、部署の管理職と一緒に確かめます。数値だけで部署や管理職を評価しないことが、率直な情報を得るための前提になります。

手順4:同じ項目を一定の間隔で確かめ続ける

施策を始めたら、同じ項目を月1回など一定の間隔で確かめ、変化を追います。年1回の健康診断の結果だけでは、施策の前後で何が変わったかを確かめにくいためです。

年1回のデータの間を埋めるには

ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。健康診断の代わりになるものではありませんが、年1回の結果の間を埋める材料として使えます。

健康データを、どの単位で集め、どう施策に使うか整理したい方へ
手元にあるデータの並べ方や、部署ごとに比べるための集計の考え方について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。

よくある質問(Q&A)

Q. 健康データの見える化には、専用のシステムが必要ですか?

A. 必須ではありません。まずは健康診断の集計値、勤怠、施策の参加率など、手元にあるデータを部署単位で表に並べることから始められます。確認の頻度や部署の数が増え、手作業での集計が負担になった段階で、仕組みの導入を検討する進め方もあります。

Q. 人事部門が健康診断の個人の結果を見てもよいですか?

A. 健康診断の結果は要配慮個人情報に当たり、取り扱いには特に配慮が必要です。誰がどの範囲の情報を扱うかは、厚生労働省の手引きを参考に、衛生委員会などで労使が関わって取扱規程に定めます。個別の判断は産業医等の専門家にご確認ください。

Q. 部署ごとに集計するとき、何人以上なら個人が特定されませんか?

A. データの種類や使い方によって考え方が異なるため、この記事では一律の人数を示していません。自社の部署の人数構成を踏まえ、産業医等と相談して集計の最小人数を決め、社内のルールとして定めておくことをおすすめします。

Q. 見える化の結果が悪かった部署には、何をすればよいですか?

A. まず部署の管理職と一緒に、数値の背景(業務量、人員の変化、繁忙期など)を確かめます。そのうえで、すぐに変えられることから始め、同じ項目で変化を追います。個別の従業員の健康に関わる対応は、産業保健スタッフと連携してください。

参考資料

この記事の著者・監修

執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

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