ストレスチェック制度は、働く人のストレスの状態を調べ、職場の改善に生かすための制度です。今は労働者50人以上の事業場に年1回の実施が義務で、2028年4月からは50人未満の事業場も義務になります。
ストレスチェックとは、質問票への回答をもとに働く人のストレスの程度を調べる、労働安全衛生法にもとづく検査です。
この記事でわかること
- ストレスチェック制度の目的と対象
- 実施の流れと、会社・実施者・本人それぞれの役割
- 2028年4月から50人未満の事業場にも義務化される変更点
- 集団分析の結果を職場の改善につなげる進め方
※この記事の制度に関する内容は、厚生労働省の公表情報にもとづき2026年9月27日に確認しました。個別の対応は、所轄の労働基準監督署や産業医等の専門家にご確認ください。
ストレスチェック制度の目的
制度の主な目的は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。働く人は自分のストレスの状態を知ることでセルフケアにつなげられ、会社は職場ごとの傾向を知ることで、業務量や人間関係など職場環境の見直しに生かせます。
ストレスチェックは、病気を見つけるための検査ではありません。結果はあくまで「ストレスの状態を知るきっかけ」であり、診断に代わるものではない点を、社内で周知する際にも伝えておくと誤解を防げます。
対象となる事業場と、2028年4月からの変更点
現在:労働者数50人以上の事業場は年1回の実施が義務
現在、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回のストレスチェックの実施が義務です。人数は会社全体ではなく事業場(支店・工場・営業所など)単位で数える点に注意が必要です。本社は50人以上でも、支店は50人未満という会社では、事業場ごとに扱いが分かれます。
2028年4月1日から:50人未満の事業場にも義務化
2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化され、2028年4月1日から施行されます。これまで50人未満の事業場は「当分の間、努力義務」とされていました。
厚生労働省は2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しており、小規模な事業場が準備を進めるための手順が示されています。複数の拠点を持つ会社では、これまで実施していなかった小規模な拠点も対象になるため、拠点ごとの人数と実施体制を早めに洗い出しておくと、準備の順番を決めやすくなります。
集団分析の実施方法も明文化(2027年4月1日施行)
あわせて、ストレスチェックの集団分析は「特定の個人を識別することができない方法」で行うことが労働安全衛生規則に明記され、2027年4月1日から施行されます。人数の少ない部署ごとに集計すると個人が特定されるおそれがあるため、集計の単位には配慮が必要です。
ストレスチェックの実施の流れ
ストレスチェックは、おおむね次の流れで進みます。
- 実施体制を決める:会社として実施方針を示し、実施者と、実施事務の担当者を決めます。実施者は、医師、保健師、または一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師から選びます。外部の実施機関に委託することもできます。
- 質問票に回答してもらう:国が標準的な項目として示す「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)の利用が推奨されています。簡略版(23項目)もあります。
- 本人に結果を通知する:結果は実施者から本人に直接通知します。本人の同意なく、会社が個人の結果を見ることはできません。
- 面接指導につなぐ:高ストレスと判定され、本人が申し出た場合は、医師による面接指導を行い、医師の意見を聴いたうえで必要な就業上の措置を検討します。
- 集団分析と職場環境の改善:部署などの単位で結果を集計・分析し、職場環境の改善に生かします。
人事・総務の担当者が特に気をつけたいのは、個人の結果を扱う人の範囲です。実施者と実施事務の担当者には守秘義務があり、社長や人事部長など、人事に関して直接の権限を持つ人は、実施の事務に携わることができません。また、面接指導を申し出たことや、受検しないこと、結果の提供に同意しないことを理由に、不利益な扱いをすることは禁じられています。社内に周知する際は、このことを明確に伝えると回答しやすくなります。
集団分析を職場の改善につなげる進め方
ストレスチェックは実施すること自体が目的になりがちですが、会社にとって役立つのは集団分析の結果を使った職場の改善です。次の順番で進めると、結果を施策につなげやすくなります。
手順1:分析の単位を決める
部署・拠点・職種など、改善の担当を置ける単位で集計します。人数が少なく個人が推測されるおそれのある単位は、ほかの単位とまとめます。
手順2:前年との比較で変化を見る
1回の結果だけでは、その部署の状態が良いのか悪いのかを判断しにくいものです。前年との比較や、全社平均との差を見ると、優先して対応すべき部署が見えてきます。
手順3:部署の管理職と一緒に要因を確かめる
数値が悪化した部署では、業務量の変化、人員の入れ替わり、繁忙期の重なりなど、数値の背景を管理職と一緒に確かめます。数値だけで部署や管理職を評価しないことが、次年度以降の率直な回答につながります。
手順4:小さな改善から始め、次の結果で確かめる
会議の進め方、休憩の取り方、業務の分担など、すぐに変えられることから始めます。改善の内容を記録しておけば、翌年の結果と比べて振り返ることができます。
年1回の検査だけでは見えにくいこと
ストレスチェックは年1回の実施が基本のため、繁忙期や組織変更の影響など、年の途中で起きる変化はつかみにくい面があります。そのため、ストレスチェックとは別に、日々の働き方や体調の変化を短い間隔で確かめる取り組みを組み合わせる会社もあります。
ボディパレットでは、毎月の健康動態モニタリングで部署・組織ごとの状態の推移を確認し、変化のあった組織に合わせて運動や生活習慣のプログラムを組み合わせる支援を行っています。ストレスチェックの代わりになるものではありませんが、年1回の結果の間を埋める材料として使えます。
集団分析の結果を、どの部署から、どう改善に生かすか整理したい方へ
部署ごとの結果の見方や、次の施策の選び方について、ボディパレットの担当者がご相談をお受けします。
よくある質問(Q&A)
Q. 50人未満の事業場は、いつからストレスチェックが必要ですか?
A. 2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日から義務化されます。準備の手順は、厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」で確認できます。
Q. 会社はストレスチェックの個人の結果を見られますか?
A. 本人の同意がなければ、会社は個人の結果を見ることはできません。結果は実施者から本人に直接通知されます。
Q. 集団分析は部署ごとに行えばよいですか?
A. 改善の担当を置ける単位で集計するのが基本ですが、人数が少なく個人が推測されるおそれがある単位は避けます。2027年4月1日からは、特定の個人を識別できない方法で集団分析を行うことが労働安全衛生規則に明記されます。
Q. ストレスチェックの結果が悪い部署には、何から手を付ければよいですか?
A. まず前年や全社平均と比べて変化を確かめ、部署の管理職と一緒に背景を確認します。そのうえで、業務の分担や休憩の取り方など、すぐに変えられることから始め、翌年の結果で振り返る進め方が現実的です。
参考資料
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html (2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(2026年2月)https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001678866.pdf (2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「労働者数50人未満の小規模事業者の方」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70761.html (2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」(基発0630第2号、2026年6月30日)https://www.mhlw.go.jp/content/001725894.pdf (2026年9月27日確認)
この記事の著者・監修
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年10月3日

