社員の運動不足を健康イベントで解消する鍵は、「運動が苦手な人も参加できるイベントを選ぶこと」と「単発で終わらせず日常の運動機会につなげること」の2点です。日本の働き手の約8割が運動不足を感じており、座りすぎは健康と生産性の両方に影響します。健康イベントは体を動かす”きっかけ”として有効ですが、年1回では運動習慣は定着しないため、継続施策とセットで設計することが運動不足の解消につながります。
健康イベントとは、企業が従業員の健康増進や交流促進を目的に、運動・スポーツ・社会貢献などを通じて参加者が体を動かす機会を提供する福利厚生施策のことです。ボディパレットでは、こうした健康イベントを運動不足解消の”入口”と位置づけ、イベント後の継続をどう設計するかが成果を左右すると考えています。
この記事でわかること
- 社員の運動不足の実態と、放置した場合に企業が負うリスク(公的データ付き)
- 運動不足の解消につながる健康イベントの選び方(社員タイプ別)
- 社内で実施しやすい健康イベント5種と、それぞれが向く職場
- イベントを「一度きり」で終わらせず運動習慣に変える方法
※本記事の内容は2026年6月時点の情報に基づいています。
なお、イベントを成功させる具体的な企画手順(目的設定・告知・会場確保など)については、福利厚生で健康イベントを成功させる方法と5つの企画ポイントで詳しく解説しています。本記事は「運動不足の解消」という目的に絞って、イベントの選び方と継続の設計を整理します。
社員の運動不足を放置するとどうなる?実態とリスク
社員の運動不足を放置すると、健康リスクの増大だけでなく、肩こり・腰痛による集中力低下など労働生産性の低下にもつながります。デスクワークやテレワークの普及で座っている時間が長くなり、運動不足は多くの企業に共通する課題になっています。
働き手の約8割が運動不足を感じている
運動不足は、特定の人だけの問題ではありません。スポーツ庁の世論調査では、運動不足を感じている人は全体の77.9%にのぼり、男性74.1%・女性81.6%、特に働き盛りの30〜50歳代では8割を超えています。つまり、企業で働く世代の大多数が運動不足を自覚しているのが実態です。
日本人の座位時間は世界最長レベル
日本のビジネスパーソンの座りすぎは、国際的に見ても深刻です。オーストラリアの研究機関の調査では、日本人の成人が平日に座っている時間は世界20カ国中もっとも長い1日420分=7時間と報告されています。長時間座り続けると血流や筋肉の代謝が低下し、心筋梗塞・脳血管疾患・肥満・糖尿病などのリスクが高まることが指摘されており、座りすぎはメンタルヘルスにも影響するとされています。
運動不足は「生産性の損失」として企業のコストになる
運動不足の影響は、医療費だけでなく日々の生産性にも及びます。運動不足による肩こり・腰痛・倦怠感は、出勤していても本来のパフォーマンスを発揮できない「プレゼンティーイズム」を招きやすく、これは企業の見えにくいコストになります。だからこそ、運動不足の解消は福利厚生にとどまらず、健康経営の観点からも投資する価値のあるテーマです。ボディパレットに寄せられる相談でも、「まず社員に体を動かす楽しさを知ってもらう入口がほしい」という声は少なくありません。
運動不足の解消につながる健康イベントの選び方
運動不足の解消を目的に健康イベントを選ぶなら、「運動が苦手な層が参加できるか」を最優先の基準にします。運動習慣のない社員ほど運動不足のリスクが高いため、その層が参加をためらうイベントを選んでしまうと、本当に届けたい人に届きません。
基準1:参加ハードルが低いか
運動不足の社員に届けるには、運動が得意でない人でも気軽に参加できることが第一条件です。勝敗を競う本格的なスポーツより、ルールが簡単で運動強度を調整できるもの、チームで楽しめるものを選ぶと、運動から遠ざかっていた層も参加しやすくなります。
基準2:自社の社員層・働き方に合っているか
イベントの適性は、社員の年齢構成や働き方によって変わります。若手が多くチームの一体感を高めたい職場は競技性のあるイベント、年齢層が幅広い職場や運動が苦手な人が多い職場は強度の低いイベントが向きます。リモートワーク中心で全員が集まりにくい場合は、後述する継続施策(オンライン運動など)を主軸にする選択肢もあります。
基準3:継続施策につなげられるか
運動不足の根本解消には、イベント単体ではなく「その後も続く仕組み」が必要です。イベントで運動の楽しさを感じた社員を、日常的な運動機会へどう橋渡しするかまで見据えて選ぶことが、施策全体の成果を分けます。ボディパレットでは、イベントという”点”を運動習慣という”線”に変える設計を支援しています。
社員の運動不足解消に使える健康イベント5選と向く職場
社員の運動不足解消に使いやすい健康イベントは、「競技性で盛り上がるタイプ」「運動が苦手でも参加しやすいタイプ」「社会貢献を兼ねるタイプ」に分かれます。自社の社員層に合うタイプから選ぶことで、参加率と運動不足解消の効果を高められます。
| イベント | タイプ | 向いている職場 |
|---|---|---|
| 社内運動会 | 競技性・一体感 | 若手が多い/部署間交流を増やしたい |
| フットサル大会 | 競技性・チーム戦 | 運動好きが一定数いる/少人数でも開催したい |
| ボウリング大会 | 低強度・交流 | 運動が苦手な人が多い/年齢層が幅広い |
| ボルダリング大会 | 低強度・達成感 | 個人の達成感を重視したい/初心者中心 |
| ゴミ拾いイベント | 社会貢献・低強度 | CSRも兼ねたい/定期開催したい |
競技性で盛り上がるタイプ:社内運動会・フットサル大会
競技性のあるイベントは、チーム対抗で盛り上がり、一体感の醸成と運動量の確保を両立できます。社内運動会は、企業規模に応じて100人規模から1,000人以上の大規模開催まで可能で、チームに分かれて競うことで部署内のコミュニケーションも深まります。フットサル大会は5人制で屋内・専用コートでも行え、年齢・性別を問わず楽しめます。スライディングタックルなどが反則とされるため運動強度を調整しやすく、社内イベント向きです。運動量は多い反面、運動が苦手な層には参加のハードルが高いため、見学・応援も含めて巻き込む工夫があると効果的です。
運動が苦手でも参加しやすいタイプ:ボウリング・ボルダリング
運動が得意でない人も参加しやすいイベントは、運動不足の社員を巻き込むのに最も適しています。ボウリング大会はスポーツが苦手な人も一緒に楽しめ、数人のチームに分ければ普段関わりのない部署とも交流できます。ボルダリングは壁の「ホールド」を使って登るインドアスポーツで、初心者でも体力に自信がない人でもハードルが低く、幅広い年代が楽しめます。初心者と経験者でチームを組むとバランス良く盛り上がります。「運動が苦手な人が多い」職場ほど、このタイプから始めるのが現実的です。
社会貢献を兼ねるタイプ:ゴミ拾いイベント
社会貢献を兼ねた健康イベントは、企業の社会的責任(CSR)と運動不足解消を同時に満たせます。ゴミ拾いイベントは地域貢献につながる取り組みとして注目され、SDGsの目標(住み続けられるまちづくりなど)にも通じます。歩いて体を動かしながら取り組めるため運動強度が穏やかで、運動が苦手な人も参加しやすいのが特徴です。集めたゴミの量をチームで競うなどゲーム要素を加えると、楽しみながら定期開催しやすくなります。
イベントを「一度きり」で終わらせず運動習慣に変える方法
健康イベントは運動不足解消の入口として有効ですが、年1回のイベントだけでは運動習慣は定着しません。運動不足を根本から解消するには、イベントを起点に、日常的に体を動かせる仕組みをセットで用意することが欠かせません。
これは、長く積み重なった座りすぎや運動不足を、単発のイベントでは取り戻しきれないためです。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間を減らし、日常の中で少しずつ身体活動を増やすことの重要性が示されています。イベントで「体を動かすのは楽しい」と感じた社員が、その後も無理なく続けられる導線を用意できるかどうかが、運動不足解消の成否を分けます。
具体的には、イベント後に「短時間で参加できるオンライン運動プログラム」「デスク周りでできるストレッチの配信」「部署対抗の歩数チャレンジ」など、ハードルの低い継続施策へつなげるのが効果的です。ボディパレットでは、こうした日常的な運動機会の提供と、参加ログ・健康データの可視化をワンストップで支援しており、イベントという”点”を運動習慣という”線”に変える設計を得意としています。常設の運動施策を検討する場合は、関連記事「福利厚生にフィットネスを導入するには?」もあわせてご覧ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 運動が苦手な社員が多いのですが、運動不足解消にはどんなイベントが向いていますか?
ボウリング・ボルダリング・ゴミ拾いイベントなど、運動強度が低く、勝敗より参加そのものを楽しめるイベントが向いています。特にボウリングは運動が得意でない人も一緒に楽しめ、チーム分けすれば部署を越えた交流も生まれます。運動から遠ざかっていた社員ほど運動不足のリスクが高いため、ハードルの低いイベントで「まず体を動かす」きっかけをつくることが効果的です。
Q. 健康イベントを開催すれば社員の運動不足は解消できますか?
年1回のイベントだけでは、運動不足の根本解消は難しいのが実情です。健康イベントは「体を動かすきっかけづくり」として有効ですが、運動習慣を定着させるには、イベント後に短時間のオンラインプログラムや歩数チャレンジなど、日常的に続けられる施策とセットにする必要があります。ボディパレットでは、このイベントから継続への導線設計を支援しています。
Q. 日本人の運動不足や座りすぎは、実際どれくらい深刻ですか?
スポーツ庁の世論調査では運動不足を感じている人が全体の77.9%にのぼり、30〜50歳代では8割を超えています。また日本人の平日の座位時間は世界20カ国中最長の1日約7時間と報告されており、座りすぎは心筋梗塞や糖尿病などの健康リスクを高めるとされています。働く世代の大多数が当事者であり、企業として対策する意義は大きいといえます。
Q. 運動不足の解消は、企業にとってどんなメリットがありますか?
運動不足による肩こり・腰痛・倦怠感が改善されると、出勤していても本来の力を発揮できない「プレゼンティーイズム」の改善につながり、労働生産性の向上が期待できます。あわせて、チームで取り組む健康イベントは部署を越えた社内コミュニケーションを活性化させ、離職防止や採用面でのプラスにもなり得ます。運動不足対策は福利厚生であると同時に、健康経営の投資としても位置づけられます。
Q. 健康イベントと常設のフィットネス、運動不足解消にはどちらを導入すべきですか?
運動不足の解消を目指すなら、組み合わせるのが効果的です。イベントは「運動への入口」、常設サービスは「習慣の定着」という役割があります。まずイベントで関心を高め、続けられる常設施策へつなぐ流れをつくると、運動不足の解消につながりやすくなります。ボディパレットは、オンライン運動プログラムや健康データの可視化を通じて、この「入口から定着まで」を一貫して支援しています。
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年6月25日

