健康経営を本気で実現するには、フィットネス施策の「習慣化・定着の仕組み」「効果を見える化する仕組み」「経営層自らのコミットメント」の3つが欠かせません。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に健康保持・増進の取り組みを実践する経営手法です(経済産業省の定義に基づく)。
この記事でわかること
- 健康経営の実現に必要な3つの条件と、それぞれの具体的な仕組み
- 福利厚生フィットネスを導入して健康経営に成功した企業の実例と成果
- 健康経営を成功させる福利厚生フィットネスの選び方(5ステップ)
※前提:この記事は、健康経営に取り組む、または取り組みを検討している企業の経営者・人事担当者を対象としています。
この記事は、ボディパレット編集部が健康経営支援の現場知見をもとに執筆・監修しています。
健康経営の実現になぜ「仕組み」が必要なのか
健康経営を掲げるだけでは成果は出ません。施策を「導入して終わり」ではなく、継続的に機能させる仕組みを構築することが、健康経営の成否を分けます。
健康経営優良法人の認定数は年々増加しており、2026年3月時点で大規模法人部門3,765社、中小規模法人部門23,085社が認定されています(経済産業省「健康経営優良法人2026」認定発表より)。認定企業数が急増する一方で、認定を取得しても「従業員の行動変容につながらない」「施策の効果が見えない」という声は少なくありません。
この課題の背景には、施策の導入時点では意欲があっても、時間の経過とともに参加率が低下し、形骸化してしまうという構造的な問題があります。厚生労働省の「コラボヘルスガイドライン」でも、事業主と保険者が連携して、PDCAサイクルを回しながら継続的に取り組むことの重要性が指摘されています。
ボディパレットに寄せられる企業からの相談でも、「制度は作ったが利用されない」「効果の測り方がわからない」という声が最も多い傾向です。健康経営を「本気で」実現するためには、次の3つの条件を満たす仕組みづくりが不可欠です。
条件①:フィットネス施策を「習慣化・定着」させる仕組みがあること
福利厚生としてフィットネスを導入する場合、最も重要なのは従業員が無理なく継続できる仕組みを設計することです。導入初月だけ盛り上がり、3か月後には参加者がほぼゼロ——というパターンは、ボディパレットの導入支援の現場でもよく見られる失敗例です。
習慣化・定着を実現するために必要な要素は、主に以下の3つです。
要素1:参加ハードルを極限まで下げる
従業員がフィットネスに参加しない最大の理由は「時間がない」「面倒」の2つです。この障壁を取り除くには、デスクの脇や自宅からそのまま参加できるオンライン形式が有効です。着替え不要・移動不要で、5〜15分程度の短時間プログラムであれば、業務の合間や始業前に無理なく取り組めます。
ボディパレットのオープンセッションでは、朝夕の決まった時間に毎日生配信を行い、ラジオ体操感覚で参加できる仕組みを採用しています。午前は「動かす」ことを中心にした血流促進エクササイズ、午後は仕事で凝った筋肉を「ほぐす」ストレッチという構成で、会社員が抱えやすい肩こりや腰の凝りにアプローチする内容です。
要素2:「一人ではなく、みんなで」の環境をつくる
運動習慣が定着しにくい人の多くは、一人で継続するモチベーションを維持できないという課題を抱えています。社内メンバーの顔を見ながら一緒に取り組むライブ配信形式は、「一人ではサボってしまうが、みんなの顔が見えると参加したくなる」という心理的効果があります。リモートワーク環境でも、部署を超えたコミュニケーションのきっかけになる点も見逃せません。
要素3:毎日同じ時間に配信し、生活リズムに組み込む
習慣化の科学では、「同じ時間・同じ場所・同じ行動」を繰り返すことが定着の鍵とされています。毎日決まった時間に配信されるプログラムであれば、「朝9時にエクササイズ」「夕方17時にストレッチ」というように、業務スケジュールに自然に組み込まれていきます。週1回のジム通いよりも、毎日5分の習慣のほうが行動変容につながりやすいのはこのためです。
条件②:健康状態を「見える化」して効果を出す仕組みがあること
フィットネス施策を導入しても、「効果が出ているのかわからない」状態では、経営陣への報告も困難であり、施策の継続・改善判断ができません。健康経営を本気で実現するには、従業員の利用状況や健康状態を定期的に把握し、課題を分析する仕組みが必要です。
組織レベルの見える化:健康動態調査
従業員全体の健康課題を可視化するには、定期的なサーベイの実施が有効です。ボディパレットの健康動態調査®では、毎月アンケートを実施し、従業員の体調全般(睡眠の質・食事の質・運動習慣・精神状態・身体の不調・仕事のパフォーマンス・ワークライフバランス・ストレスなど)を総合的に調査します。
調査結果は全社・部署ごとに集計・可視化され、経営層や人事部門が従業員の健康状態をリアルタイムで把握できるようになります。組織全体や特定の部署に共通する健康課題を明確化し、適切なタイミングで必要な施策を講じることが可能になります。
個人レベルの見える化:セルフマネジメント
組織の見える化だけでなく、従業員一人ひとりが自分の健康状態を自己管理できる仕組みも重要です。トレーニング記録・体重/体脂肪率のKPI管理・食事記録管理などのWebサービスを通じて、従業員が自分自身の変化を実感できる環境を整えることで、健康への意識を高めることができます。
スマートフォンから簡単にアクセスできれば、ランチ前・会食前・通勤時間など、ちょっとした隙間時間に従業員自身が健康維持・健康意識の向上を行うことができます。
効果検証と施策改善のサイクル
見える化の真の価値は、データに基づいてPDCAサイクルを回せることにあります。健康動態調査を継続的に実施することで、施策の効果検証やケアの質の向上に役立てることができます。従業員の健康状態と生産性の関連性を分析し、より効果的な健康経営の推進につなげていくことが可能です。
条件③:経営層自らが健康経営にコミットする姿勢を示すこと
健康経営は、経営層の強いコミットメントがあってこそ成功します。経営層自らが率先して健康的な生活習慣を実践し、健康経営を推進する姿勢を示すことが、組織全体の意識変革の起点になります。
経済産業省の健康経営度調査でも、経営トップのコミットメント(健康経営の方針や体制整備)は認定要件の基本項目に位置づけられています。「会社として健康経営に取り組む」というトップメッセージがあるかどうかで、現場の受け止め方は大きく変わります。
ボディパレットを運営するフラクタルワークアウト株式会社では、経営者・個人事業主・各種専門職など、健康管理に課題を感じている方に向けた経営層向けパーソナルトレーニングメニュー「フラクタルワークアウト」も用意しています。効果的で持続可能なボディマネジメントをサポートするプライベートワークアウトジムとして、経営者の健康リテラシー向上を起点に、企業全体の健康経営を底上げする取り組みを行っています。
福利厚生フィットネスで健康経営を成功させた企業の事例
ここでは、実際にボディパレットを導入し、健康経営に成果を上げた企業の事例を紹介します。
事例1:60人規模の企業(カスタムセッション導入)
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 社内コミュニケーション | リモート中心で他部署との連携が困難 | コミュニケーションツールとして有効に機能し、業務の円滑化に貢献 |
| 採用広告 | 通常の応募水準 | PV数約3倍・応募数約1.5倍に増加。「ユニークな福利厚生」として求職者から好評 |
| 離職率 | 約10% | 約5%に低下 |
| 企業の健康意識 | — | 「まずはメンバーが心身ともに健康であることが大前提」という意識が浸透 |
事例2:80名規模の部署(朝夕オープンセッション導入)
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 社内コミュニケーション | 会議は情報共有の場のみ | 会議の場がリフレッシュの機会にもなり、社内コミュニケーションが活性化 |
| 社員の健康意識 | 運動不足・健康意識が低い社員が多い | 定期的にストレッチを行う習慣が社員に定着 |
| 仕事への集中力 | 運動不足による肩こり・腰の張りあり | 集中力が向上し、仕事へのモチベーションがアップ |
| 運動習慣の定着 | 運動習慣のない社員が多い | プログラム終了後も継続してストレッチを行う社員が増加 |
| 企業の健康意識 | 具体的な取り組みなし | 社員の健康が会社全体の生産性アップにつながることを認識。健康経営実践への意欲向上 |
いずれの事例でも共通しているのは、「習慣化の仕組み」と「効果の見える化」の両方が機能した結果、社員の行動変容と組織レベルの成果が同時に実現したという点です。
健康経営を実現する福利厚生フィットネスの選び方(5ステップ)
福利厚生としてフィットネスを導入し、健康経営につなげるためには、以下の5つのステップで検討を進めることが重要です。
ステップ1:自社の健康課題を明確にする
導入の第一歩は、自社の健康課題を把握することです。健康診断の結果やストレスチェックの集計データ、従業員へのアンケートなどを活用し、「運動不足が深刻なのか」「メンタルヘルスが課題なのか」「特定の部署・年代に偏りがあるのか」を具体的に洗い出します。課題が不明確なまま施策を導入しても、的外れな投資になりかねません。
ステップ2:「習慣化・定着」の仕組みがあるサービスを選ぶ
単発のイベントや動画配信だけでは習慣化は難しいのが現実です。サービス選定時には、「毎日決まった時間に配信があるか」「ライブ配信で一体感を持てるか」「参加ハードルが低いか(着替え不要・短時間・デスク脇で可能)」の3点を確認しましょう。
ステップ3:「効果の見える化」ができるサービスを選ぶ
健康経営を経営施策として位置づけるなら、定量的な効果測定は不可欠です。参加率のレポート機能、従業員の健康状態を定期的に測定するサーベイ機能、経営層や人事向けのダッシュボードなどが備わっているかを確認します。
ステップ4:小規模からトライアルを始める
いきなり全社導入するのではなく、特定の部署や希望者を対象にトライアルを実施し、参加率・満足度・課題を把握してから拡大するのが失敗しない進め方です。ボディパレットでは、小人数からのスタートや体験プランも用意しています。
ステップ5:導入後もPDCAを回し続ける
導入はゴールではなくスタートです。月次・四半期ごとに参加率・健康指標の変化をモニタリングし、必要に応じてプログラム内容の調整やコミュニケーション施策の追加を行います。ボディパレットでは、月1回のガイダンスプログラムや健康動態調査を通じて、継続的な改善をサポートしています。
よくある質問(Q&A)
Q. 健康経営を実現するために最低限必要な取り組みは何ですか?
経営トップが健康経営の方針を明示すること・従業員の健康課題を把握すること・具体的な施策を実行してPDCAを回すことの3つが最低限必要です。経済産業省の健康経営優良法人認定制度でも、この3つは認定要件の基本項目に含まれています。施策の規模や予算よりも、「仕組みとして継続できるかどうか」が成否を分けます。
Q. 福利厚生としてフィットネスを導入すると、どのような効果が期待できますか?
従業員の運動習慣の定着、肩こり・腰痛などのプレゼンティーイズム改善、社内コミュニケーションの活性化、離職率の低下、採用力の向上などが期待できます。ボディパレットの導入事例では、離職率が約10%から約5%に低下したケースや、採用応募数が約1.5倍に増加した実績があります。ただし効果は企業規模や既存の健康課題によって異なるため、まずは自社の課題を明確にしたうえで導入を検討することが重要です。
Q. 中小企業でも健康経営に取り組めますか?
取り組めます。健康経営優良法人認定制度には中小規模法人部門があり、2026年3月時点で23,085社が認定を受けています。中小企業はむしろ少人数であるぶん、施策の効果が組織全体に波及しやすいメリットがあります。小規模法人特例制度(従業員数が少ない企業向けの認定要件の緩和)も導入されており、取り組みのハードルは下がっています。
Q. オンラインのフィットネスでも健康経営に効果がありますか?
あります。オンライン形式は「移動不要」「着替え不要」「短時間で参加可能」という特性から、対面型よりも参加ハードルが低く、継続率が高くなる傾向があります。リモートワーク環境でも部署を超えたコミュニケーションが生まれる点、毎日配信による習慣化効果がある点も、対面型にはないメリットです。ボディパレットでは、オンラインのライブ配信に加えて、企業訪問型のオンサイトセッションも用意しており、ハイブリッドな活用が可能です。
Q. 健康経営の効果を社内で可視化するにはどうすればよいですか?
プレゼンティーイズム(出勤しているが体調不良でパフォーマンスが低下している状態)の測定、健康サーベイの定期実施、施策への参加率モニタリングの3つを組み合わせるのが実践的です。経済産業省の健康経営度調査でもプレゼンティーイズムの測定は評価項目に含まれています。ボディパレットの健康動態調査では、これらの指標を毎月自動で集計・可視化できるため、経営層への報告資料としても活用できます。
この記事の著者・監修
執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年3月26日

