資料請求・無料体験
お問い合わせ

アブセンティーズムとは?企業が被る損失と今日から始められる5つの対策

アブセンティーズムとは?企業が被る損失と今日から始められる5つの対策

アブセンティーズムを放置すると、欠勤1日あたり数万円の直接損失に加え、代替要員の確保・残業増・士気低下といった連鎖コストが発生し、従業員1,000人規模の企業では年間数千万円の損失に達します。

アブセンティーズム(Absenteeism)とは、病気・けが・メンタル不調などの健康上の理由により、従業員が欠勤・遅刻・早退・休職する状態を指す、WHO(世界保健機関)が提唱した生産性損失の評価指標です。

この記事でわかること:

  • アブセンティーズムの定義とプレゼンティーズムとの違い
  • 欠勤が企業経営に与える5つのリスクと経済的損失の具体的な数値
  • アブセンティーズムを削減するための実践的な対策5選
  • 健康経営優良法人の認定要件に対応した測定方法

この記事は、ボディパレットの健康経営支援チームが、企業の欠勤課題に関する相談対応の知見をもとに執筆・監修しています。

アブセンティーズムとは?健康経営で注目される欠勤コストの実態

アブセンティーズムの定義|欠勤・休職による業務停止状態

アブセンティーズムは、従業員が心身の不調を原因として勤務できない状態の総称であり、欠勤日数や休職期間として数値化できる点が特徴です。具体的には、インフルエンザなどの急性疾患による一時的な欠勤、腰痛・持病の悪化による長期欠勤、うつ病・燃え尽き症候群などメンタル不調による休職、介護・育児に伴う継続的な欠勤の4パターンに大別されます。

ボディパレットでは、アブセンティーズムを「健康上の理由で業務遂行が物理的に停止している状態」と定義し、勤怠データで把握可能な指標として健康経営の改善サイクルに組み込むことを推奨しています。

日本企業の欠勤損失はどれくらいか?経済産業省のデータ

経済産業省の調査によると、日本企業におけるアブセンティーズムの平均日数は年間2.6日です。一見少なく感じますが、年収500万円の従業員(日額約2万円)で換算すると1人あたり年間約5.2万円、従業員1,000人規模の企業なら年間約5,200万円の直接的な生産性損失になります。

さらに、厚生労働省の「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」によれば、企業の健康関連総コストに占めるアブセンティーズムの割合は4.4%です。金額としては中規模以上の企業で年間数千万円に達する計算となり、「見えにくい固定費」として企業収益を長期的に圧迫します。

アブセンティーズムとプレゼンティーズムの違い|どちらの損失が大きいのか

企業の健康関連コストにおいて最大の損失要因はプレゼンティーズム(77.9%)であり、アブセンティーズム(4.4%)の約18倍にのぼります。ただし、アブセンティーズムは放置するとプレゼンティーズムの悪化や離職につながるため、両方を一体的に管理する必要があります。

比較項目アブセンティーズムプレゼンティーズム
定義健康問題で欠勤・休職している状態出勤しているが不調でパフォーマンスが低下している状態
可視性勤怠データで把握しやすい表面化しにくく、見過ごされやすい
健康関連コストに占める割合4.4%77.9%
測定方法勤怠記録・アンケート質問票(SPQ、WLQ等)
対策の入口早期発見・復職支援職場環境改善・運動習慣の定着

横浜市立大学と産業医科大学の共同研究(2025年5月発表、対象:全国27,507名)によると、メンタル不調に起因するプレゼンティーズムの損失額は年間約7.3兆円、アブセンティーズムは約0.3兆円で、合計約7.6兆円に達します。これは日本のGDPの約1.1%に相当し、65歳未満の精神疾患にかかる医療費(約1.1兆円)の7倍以上です。

注意すべき点として、プレゼンティーズムを放置した従業員が体調を悪化させ、最終的にアブセンティーズム(長期休職)に移行するケースが少なくありません。ボディパレットに寄せられる企業からの相談でも、「軽い不調を我慢して出勤していた社員がある日突然休職した」という事例は頻繁に見られます。両指標を別々に管理するのではなく、連続的な健康課題として一体的に捉えることが重要です。

アブセンティーズムが企業に与える5つのリスク

アブセンティーズムが企業経営にもたらすリスクは、直接的な人件費の損失にとどまらず、業務品質・組織風土・人材定着の5領域に波及します。

リスク①:代替要員の確保と残業コストの増大

欠勤者が出ると、他の従業員が業務をカバーするための残業や、派遣スタッフの手配が必要になります。割増賃金(時間外労働は25%以上の割増)や派遣料金が加わり、欠勤者本人の人件費を超えるコストが発生するケースもあります。

リスク②:業務の遅延と品質低下

熟練した担当者の不在は、納期遅延・顧客対応の遅れ・作業品質の低下を引き起こします。製造業では、欠勤による1日のライン停止で間接損失が約4.6万円にのぼる事例も報告されています。

リスク③:職場の安全リスクの上昇

製造業・運輸業などの現場では、不慣れな代替要員の投入によりヒューマンエラーや労働災害のリスクが高まります。熟練者の不在時に安全確認の抜け漏れや操作ミスが発生しやすくなるためです。

リスク④:残された従業員の士気低下と離職リスク

連鎖的な欠勤対応によって残業が増えた社員は、疲労やストレスが蓄積し、モチベーションやエンゲージメントが低下します。その結果、離職率の上昇や採用・教育コストの増大(1人あたり数百万円規模)という二次被害につながるリスクがあります。

リスク⑤:企業価値・採用ブランドへの影響

健康経営優良法人の認定審査やESG評価では、アブセンティーズムが重要指標として扱われています。欠勤率が高い企業は、投資家や求職者からの評価が下がり、資金調達や人材獲得の面で不利になる可能性があります。

アブセンティーズムの主な原因と発生パターン

アブセンティーズムの原因は、身体的不調とメンタル不調の2つに大別され、それぞれ発生パターンと対策のアプローチが異なります。

身体的不調による欠勤

急性疾患(インフルエンザ・胃腸炎など)による短期欠勤と、慢性疾患(腰痛・糖尿病・高血圧など)の悪化による長期欠勤の2パターンがあります。急性疾患は季節性があり予測がしやすい一方、慢性疾患は生活習慣の蓄積が原因であるため、定期健康診断の結果を活用した早期介入が有効です。

メンタル不調による欠勤

うつ病・適応障害・燃え尽き症候群などのメンタル不調は、長期休職に直結しやすく、復職までの期間も長期化する傾向があります。厚生労働省の調査では、働く人の約80%が仕事に関する不安やストレスを感じており、横浜市立大学の研究(2025年)では20〜30代の女性においてメンタル不調の有症状割合が特に高いことが指摘されています。

職場環境・組織要因

長時間労働の常態化、ハラスメント、人間関係の悪化、業務過多といった職場環境の問題も、アブセンティーズムの発生要因です。特定の部署や時期に欠勤が集中している場合は、個人の健康問題ではなく組織的な要因を疑う必要があります。

アブセンティーズムを削減する具体的な対策5選

アブセンティーズムの削減には、「予防→早期発見→対応→復職支援」の4段階で施策を組み合わせることが有効です。以下は、ボディパレットの健康経営支援の現場で効果が確認されている5つの対策です。

対策①:定期健康診断+事後措置の徹底(予防)

法定の健康診断を実施するだけでなく、異常所見があった従業員への事後措置(産業医面談・保健指導・就業制限の検討)を確実に行うことが、慢性疾患による長期欠勤を未然に防ぐ最も基本的な施策です。健康経営優良法人2026の認定要件でも、健康診断後の適切なフォローアップが評価項目に含まれています。

対策②:ストレスチェック結果を活用した職場環境改善(予防)

年1回のストレスチェック(従業員50人以上の事業場で義務)の集団分析結果を用いて、高ストレス部署の特定と職場環境の改善に取り組みます。ストレスチェックを「実施して終わり」にせず、結果を部署単位で分析し、具体的な改善アクション(業務分担の見直し、1on1ミーティングの導入など)につなげることが重要です。

対策③:勤怠データのモニタリングによる早期発見(早期発見)

月曜日の遅刻が増えている、有給休暇の取得パターンが不規則になっているなど、勤怠データの変化はメンタル不調の初期サインである場合があります。具体的には、①遅刻・早退の頻度増加、②短期欠勤の繰り返し、③特定曜日への欠勤集中の3パターンを定期的にチェックし、該当者には産業医面談や上司との面談を設定することで、長期休職への移行を防ぎます。

対策④:運動習慣の定着支援(予防・改善)

定期的な運動習慣は、身体的不調の予防だけでなく、メンタルヘルスの改善にも寄与することが多数の研究で示されています。ただし、福利厚生としてフィットネスを導入する場合、「ジムの法人契約をしただけで利用されない」という失敗パターンが非常に多いのが実態です。ボディパレットのようなオンラインフィットネスサービスであれば、リモートワーク社員やシフト勤務の従業員でも時間・場所を問わず参加でき、参加率のデータを健康経営の成果指標として活用できます。

対策⑤:復職支援プログラムの整備(復職支援)

メンタル不調で休職した従業員が再び長期欠勤に陥らないよう、段階的な復職プログラム(リワークプログラム)を整備します。復職支援で失敗しやすいポイントは、「本人の希望だけで復職時期を決める」「復職後すぐにフルタイム勤務に戻す」の2つです。産業医の判断を基に、短時間勤務→時差出勤→フルタイムと段階的に負荷を上げるステップを明確に設計してください。

アブセンティーズムの測定方法|健康経営優良法人の認定要件にも対応

2024年度から、健康経営銘柄・健康経営優良法人ホワイト500の認定において「従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示」が必須要件となりました。アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワーク・エンゲージメントのいずれかを計測・開示することが求められています。

測定方法①:従業員アンケート(最も正確)

「昨年1年間に自分の病気で何日仕事を休みましたか?」という質問により、実際の欠勤日数を把握します。経済産業省の「企業の『健康経営』ガイドブック」で推奨されている方法であり、有給休暇を使った病欠や自己判断での「体調不良による在宅勤務」も捕捉できるため、勤怠データのみでは見えない実態を把握できます。

測定方法②:勤怠データ(疾病休業者数・日数)の集計

30日以上の疾病休業者を対象に、休業開始日・終了日・疾病の種類(メンタルヘルス関連か否か)を記録します。有給休暇の使用有無にかかわらず、30日以上の疾病休業者全員の情報を集める必要がある点に注意してください。

損失額の算出方法

アブセンティーズムによる経済的損失は、次のシンプルな計算式でコスト換算できます。

労働生産性損失額(円)= アブセンティーズム日数 × 1日あたり賃金(円)

たとえば、従業員500人の企業でアブセンティーズムの平均が2.6日(経済産業省調査の全国平均)、平均日額賃金が2万円の場合、年間の損失額は500人 × 2.6日 × 2万円 = 2,600万円となります。この数値を経営層への説明資料として活用し、健康投資のROI(投資収益率)算出の根拠にすることができます。

よくある質問(Q&A)

Q. アブセンティーズムとプレゼンティーズムはどちらを先に対策すべきですか?

アブセンティーズムの測定から着手することを推奨します。勤怠データで数値化しやすく、改善効果も欠勤日数の減少として明確に把握できるため、経営層への報告や健康経営優良法人の申請にも活用しやすいからです。プレゼンティーズムはアンケート調査が必要で測定にコストがかかるため、まずアブセンティーズムの可視化から始め、段階的にプレゼンティーズムの測定に広げるのが現実的です。

Q. アブセンティーズムの平均日数はどれくらいですか?

経済産業省の調査によると、日本企業におけるアブセンティーズムの平均は年間2.6日です。ただし、この数値は全業種・全規模の平均であり、業種や企業規模によって大きく異なります。自社の数値を業種別平均と比較することで、対策の優先度を判断できます。ボディパレットの健康経営支援では、まず自社の現状値を正確に把握することを最初のステップとして案内しています。

Q. 中小企業でもアブセンティーズム対策は必要ですか?

従業員数が少ない中小企業ほど、1人の欠勤が業務全体に与えるインパクトは大きくなります。たとえば従業員30人の企業で1人が長期休職した場合、残りの29人に業務負荷が集中し、連鎖的な欠勤や離職を招くリスクがあります。健康経営優良法人2026では中小規模法人部門の認定制度もあり、規模に関わらずアブセンティーズム対策に取り組む意義は大きいです。

Q. 健康経営優良法人の認定にアブセンティーズムの測定は必須ですか?

2024年度から、大規模法人部門のホワイト500認定において「従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示」が必須要件に追加されました。この要件ではアブセンティーズム・プレゼンティーズム・ワーク・エンゲージメントのいずれかの計測・開示が求められます。中小規模法人部門では現時点で必須ではありませんが、2026年度以降の認定基準ではデータの透明性がより重視される傾向にあり、早めに測定体制を整えておくことが望ましいです。

Q. 福利厚生でフィットネスを導入するとアブセンティーズムは減りますか?

運動習慣の定着は、生活習慣病の予防やメンタルヘルスの改善を通じてアブセンティーズムの削減に寄与します。ただし、「ジムの法人契約をしたが利用率が低い」という失敗は非常に多いため、導入形態の選定が重要です。リモートワーク社員が多い企業や、年齢層・部署が多様な企業には、時間・場所を問わず参加できるオンラインフィットネス(ボディパレット等)が利用率を維持しやすい傾向にあります。導入後の参加率・健康データの変化を継続的にモニタリングし、費用対効果を検証することが成功の鍵です。

この記事の著者・監修

執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)

監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)

最終更新日:2026年3月26日

一覧に戻る

「本気の健康経営」を、
あなたの企業でも

健康経営は単なる福利厚生ではなく、企業価値向上にも直結する"投資"です。
BODY PALETTEなら、担当者の負担を減らしつつ、
社員が主体的に取り組む仕掛けをオールインワンで提供。
離職率の改善や生産性向上、健康経営優良法人の認定取得を強力にサポートします。

健康状態や分析グラフを表示したパソコンとスマートフォンの画面