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プレゼンティーズムとは?生産性損失の実態と企業が取るべき7つの改善策

プレゼンティーズムとは?生産性損失の実態と企業が取るべき7つの改善策

プレゼンティーズムとは、従業員が出勤しているものの心身の不調によりパフォーマンスが低下している状態を指します。厚生労働省の資料では健康関連総コストの約78%をプレゼンティーズムが占めており、アブセンティーズム(欠勤・休職)や医療費よりもはるかに大きな損失要因です。改善には「測定→原因特定→施策実行→効果検証」の4段階で取り組む必要があります。

プレゼンティーズム(presenteeism)とは、従業員が職場に出勤しているにもかかわらず、身体的・精神的な健康上の問題により本来の業務パフォーマンスを発揮できていない状態のことです。ボディパレットでは、この「出勤しているが生産性が落ちている」状態を健康経営上の最優先課題と位置づけ、モニタリングと施策の両面から改善を支援しています。

この記事でわかること

  • プレゼンティーズムの定義と、アブセンティーズムとの違い
  • 生産性損失の具体的な数値(国内調査データつき)
  • プレゼンティーズムを引き起こす3つの主要原因
  • 測定方法の種類と選び方(WHO-HPQ・東大1項目版・QQmethodなど)
  • 企業が実践すべき7つの改善策(優先順位と進め方つき)

※この記事の内容は2026年2月時点の情報に基づいています。

この記事は、ボディパレット編集部が健康経営支援の現場知見をもとに執筆・監修しています。

プレゼンティーズムによる生産性損失はどれくらい?──数値で見る企業への影響

結論として、プレゼンティーズムによる損失は、健康関連総コストの約78%を占めます。日本全体では年間約7.3兆円、従業員1人あたりでは年間約50〜70万円の生産性損失が発生しているとの調査結果があります。

企業の健康関連コストは、大きく3つに分類されます。「プレゼンティーズム(出勤しているが生産性が低下している状態による損失)」「アブセンティーズム(欠勤・休職による損失)」「医療費(健康保険料・受診費用など)」の3つです。厚生労働省保険局の「コラボヘルスガイドライン」によると、これらの内訳はプレゼンティーズムが77.9%、医療費が15.7%、アブセンティーズムが4.4%となっています(出典:厚生労働省保険局 コラボヘルスガイドライン)。

この数値が示すのは、「休んでいる人」よりも「出勤しているが調子が悪い人」の方が、企業全体の生産性に対してはるかに大きな影響を与えているという事実です。

金額に換算すると、横浜市立大学の2025年の研究では、メンタル不調に起因するプレゼンティーズムによる損失額は日本全体で年間約7.3兆円(GDPの約1.1%に相当)と推計されています(出典:横浜市立大学 2025年6月発表)。また、1人あたりの年間損失額については、東大1項目版(SPQ)の平均損失割合15.1%と日本人の平均年収約460万円から算出すると約69.5万円に相当するとの試算もあります(出典:パーソル総合研究所)。

100人規模の企業であれば、プレゼンティーズムだけで年間5,000〜7,000万円の「見えない損失」が発生している計算になります。健康経営において、プレゼンティーズム対策が最優先課題とされる理由がここにあります。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムの違いは?正しく区別して対策する

プレゼンティーズムは「出勤しているが生産性が下がっている状態」、アブセンティーズムは「病気やケガで欠勤・休職している状態」です。損失額はプレゼンティーズムの方がはるかに大きいですが、企業はどちらか一方ではなく両方を測定・改善する必要があります。

アブセンティーズムは欠勤日数や休職日数として把握しやすいのに対し、プレゼンティーズムは「出勤しているため外から見えにくい」という特徴があります。本人すら「少し体調が悪いが仕事はできている」と自覚していないケースも多く、放置すると慢性化し、最終的にアブセンティーズム(長期休職)に移行するリスクがあります。

両者を適切に区別して対策するためには、健康診断データだけでなく、プレゼンティーズム専用の測定ツール(後述)を定期的に実施し、「出勤しているが生産性が落ちている従業員」を早期に把握する仕組みが不可欠です。

プレゼンティーズムを引き起こす3つの主要原因

プレゼンティーズムの原因は、大きく「身体的不調」「メンタル不調・ストレス」「業務環境・社内コミュニケーションの問題」の3つに分類されます。原因によって有効な対策が異なるため、まず自社のプレゼンティーズムがどの原因に起因しているかを特定することが改善の第一歩です。


原因1:身体的不調──肩こり・頭痛・腰痛・睡眠の質低下

肩こり、頭痛、腰痛、眼精疲労などの慢性的な身体症状や、睡眠の質の低下は、プレゼンティーズムの代表的な原因です。日経ビジネスの報道(2025年12月)によると、腰痛だけで1,000人あたり年間約6,500万円の生産性損失が生じているとのデータがあります。デスクワーク中心の企業では、長時間の座位姿勢による身体負荷が集中力や作業効率を著しく低下させます。また、生活習慣病(高血圧・糖尿病など)の初期段階や、花粉症・インフルエンザなどの季節性の症状もパフォーマンス低下の原因になります。


原因2:メンタル不調・ストレス・人間関係

うつ症状、不安障害、強いストレス、職場の人間関係による心理的負荷は、プレゼンティーズムの重大な原因です。横浜市立大学の2025年の研究で、メンタル不調に起因するプレゼンティーズム損失が年間約7.3兆円に達すると報告されていることからも、メンタル面の影響の大きさがわかります。職場の人間関係によるストレスを放置すると、うつ病や燃え尽き症候群(バーンアウト)など、より深刻な状態に進行するリスクがあります。


原因3:業務環境・社内コミュニケーションの問題

休暇を取りにくい職場風土、慢性的な長時間労働、社内コミュニケーションの不足なども、プレゼンティーズムの発生要因です。「体調が悪くても休めない」「相談できる相手がいない」という状態が続くと、身体的・精神的な不調が悪化し、生産性のさらなる低下を招きます。この原因は個人の健康問題というよりも組織の構造的な問題であり、制度面・マネジメント面の改善が求められます。

プレゼンティーズムの測定方法はどれを選ぶべき?主要ツール3種を比較

代表的な測定ツールは「WHO-HPQ」「東大1項目版(SPQ)」「QQmethod」の3つです。初めて測定する企業には回答負荷が低い「東大1項目版」が導入しやすく、原因別の損失額まで把握したい企業には「QQmethod」が適しています。

経済産業省の「企業の健康経営ガイドブック」でも、プレゼンティーズムの測定は推奨されています。健康経営優良法人の認定申請においても、プレゼンティーズムの測定・改善への取り組みは評価項目に含まれます。以下、代表的な3つのツールの特徴を整理します。

WHO-HPQ(World Health Organization Health and Work Performance Questionnaire)

WHO(世界保健機関)が開発した国際標準の測定ツールです。健康経営度調査票のサンプル回答としても採用されており、導入企業数が多いのが特徴です。ただし、設問の表現がやや難解であり、回答に一定の時間がかかる点には注意が必要です。国際比較を行いたい企業や、すでに健康経営度調査に回答している企業に向いています。
WHO-HPQ(World Health Organization Health and Work Performance Questionnaire)

東大1項目版(SPQ:Single-Item Presenteeism Question)

東京大学のワーキンググループが開発した測定ツールで、「病気やケガがないときの仕事の出来を100%としたとき、過去4週間の自身の仕事を何%と評価するか」という1問のみで測定します。回答負荷が極めて低いため、全従業員に定期的に実施しやすいのが最大の利点です。日本人の平均スコアは84.9%(=損失割合15.1%)とのデータがあります(出典:東京大学 健康経営の枠組みによる健康課題の見える化プロジェクト)。研究目的・商用目的ともに無料で利用できます。

QQmethod(Quantity and Quality method)

仕事の「量(Quantity)」と「質(Quality)」の両面から生産性低下を測定するツールです。健康問題の有無を確認したうえで、4つの質問に回答してもらうことで、生産性低下割合と損失額を算出できます。原因別の損失内訳が把握できるため、「どの不調に優先的に対策すべきか」を判断する材料が得られます。無料で利用可能です。

選び方の目安

まずは全社の傾向を把握したい段階であれば「東大1項目版」でスタートし、詳細な原因分析に進む段階で「QQmethod」を追加するのが、コストと実用性のバランスが良い方法です。ボディパレットでは、健康動態モニタリングの中にプレゼンティーズムの測定項目を組み込んでおり、部署単位での傾向把握と施策効果の前後比較が可能です。

プレゼンティーズム改善に有効な7つの対策──優先順位と進め方

プレゼンティーズムの改善策は7つあります。すべてを同時に導入する必要はなく、自社の測定結果に基づいて「最も損失が大きい原因」に対応する施策から優先的に取り組むことが重要です。

対策1:定期的なサーベイで健康状態を可視化する

すべての改善策の前提として、まず現状を「測る」ことが不可欠です。前述の測定ツール(東大1項目版やQQmethodなど)を四半期に1回以上の頻度で実施し、全社・部署別・属性別のプレゼンティーズムスコアを把握します。従業員自身が気づいていない体調悪化を早期に発見できるケースも多く、定期的なサーベイは改善策のなかで最も優先度が高い施策です。ボディパレットでは、16項目の健康動態モニタリングを毎月自動集計し、部署別・チーム別の比較分析をダッシュボードで可視化しています。

対策2:フィットネス・運動プログラムの導入(オンライン+オンサイト)

身体的不調(肩こり・腰痛・睡眠の質低下など)が主要因の場合、運動プログラムの導入が有効です。ただし、「ジム法人契約を福利厚生に追加して終わり」では利用率が低く効果が出ません。場所を問わず参加できるオンラインセッション(ストレッチ・ヨガ・ピラティスなど)と、インストラクターが社内に訪問するオンサイトセッションを組み合わせ、「参加のハードルを下げる」「参加ログを自動取得して見える化する」仕組みにすることが継続のポイントです。

対策3:食事・栄養支援サービスの活用

不規則な食生活や栄養バランスの偏りは、集中力低下や慢性的な疲労感の原因になります。対策としては、管理栄養士による社内セミナーの実施、食事補助制度の導入、社員食堂がある場合はヘルシーメニューの追加やカロリー表示の充実などが考えられます。社員食堂がない企業でも、置き型社食サービスの導入や、健康的な食生活に関するコンテンツ配信など、小規模から始められる施策は複数あります。

対策4:睡眠改善・ストレスケア研修の導入

睡眠の質とストレス管理は、プレゼンティーズム改善において即効性が高い領域です。睡眠に関する啓発セミナー(睡眠衛生教育)や、ストレスケアを目的とした実践型研修を導入します。研修は「知識を教える」だけでなく、参加者が実際にリラクゼーション技法やマインドフルネスを体験する形式にすることで、行動変容につながりやすくなります。

対策5:メンタルヘルス支援体制の整備(EAP・産業医制度の活用)

メンタル不調が主要因の場合は、EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)の導入や産業医制度の活用が中心的な対策になります。ストレスチェック制度の結果を活用し、高ストレス者への面接指導や、管理職向けラインケア研修を組み合わせます。重要なのは、「相談しても人事評価に影響しない」ことを明文化し、社内に繰り返し周知することです。相談窓口が存在していても、利用されなければ効果はありません。

対策6:チームビルディング・対話施策による関係性改善

職場の人間関係によるストレスがプレゼンティーズムの原因になっている場合、チームビルディングや対話施策が有効です。具体的には、1on1ミーティングの定期実施、部署横断の交流イベント、心理的安全性を高めるためのワークショップなどが考えられます。運動イベント(ウォーキングチャレンジ、部署対抗戦など)を活用すると、「身体的不調の改善」と「社内コミュニケーションの活性化」を同時に実現できます。

対策7:柔軟な勤務体系の導入(フレックス・テレワーク)

業務環境が原因のプレゼンティーズムに対しては、フレックスタイムやテレワークなど柔軟な勤務体系の導入が有効です。体調が悪い日に無理して出勤するのではなく、自宅で短時間勤務に切り替える選択肢があれば、「出勤しているが生産性ゼロ」という状態を避けられます。ただし、テレワーク環境下では「出勤しているかどうか」自体が見えにくくなるため、定期的なサーベイ(対策1)と組み合わせて運用することが前提です。

注意:7つの対策はすべてを一度に導入するものではありません。まず対策1(サーベイ)で自社の主要因を特定し、その結果に基づいて対策2〜7の中から優先順位をつけて段階的に実施するのが効果的です。一時的な施策で終わらせず、PDCAサイクルで継続的に取り組むことが成果を出す鍵です。

よくある質問(Q&A)

Q. プレゼンティーズムの損失額はどうやって計算する?

A. 基本的な計算式は「プレゼンティーズム損失割合 × 従業員の年間報酬額」です。たとえば東大1項目版で自己評価が80%(=損失割合20%)、年間報酬が500万円の場合、年間損失額は100万円と算出されます。全社の損失額を把握するには、全従業員のスコアを集計して平均損失割合を算出し、平均年間報酬に掛けることで概算できます。ボディパレットでは、モニタリング機能で損失額の自動算出とダッシュボード表示に対応しています。

Q. プレゼンティーズム対策の効果はどのくらいの期間で現れる?

A. 施策の種類によって異なります。運動プログラムや睡眠改善研修は1〜3ヶ月で従業員の主観的な体調改善(肩こり軽減・睡眠の質向上など)として実感されやすい傾向にあります。一方、プレゼンティーズムスコアや生産性指標への反映には3〜6ヶ月以上の継続が必要です。ボディパレットの導入企業では、毎月のモニタリングで変化を追跡し、経営層への中間報告に活用するケースが多くあります。

Q. プレゼンティーズム対策は健康経営優良法人の認定に必要?

A. 必須ではありませんが、プレゼンティーズムの測定と改善への取り組みは健康経営度調査の評価項目に含まれており、認定審査においてプラス評価につながります。経済産業省の「企業の健康経営ガイドブック」でも、プレゼンティーズムの測定は推奨事項として記載されています。

Q. 小規模企業でもプレゼンティーズム対策は必要?

A. むしろ小規模企業ほど1人の生産性低下が業績に与える影響が大きいため、対策の優先度は高いです。測定は東大1項目版(無料・1問のみ)であれば実施の負担はほとんどありません。改善策も、短時間のオンラインストレッチセッションや睡眠に関する情報配信など、低コストで始められるものから取り組めます。

Q. プレゼンティーズムとワーク・エンゲイジメントの関係は?

A. ワーク・エンゲイジメント(仕事に対する活力・没頭・献身の状態)が高い従業員はプレゼンティーズムが低い傾向にあります。両者は対極の概念であり、プレゼンティーズムの改善施策はエンゲイジメント向上にも寄与します。健康経営優良法人の認定においても、エンゲイジメントとプレゼンティーズムの双方を測定・改善していることが評価されます。

この記事の著者・監修

執筆:ボディパレット編集部(健康経営支援の企画・運用に携わるスタッフが執筆)
監修:髙瀬 雅弘(フラクタルワークアウト株式会社代表取締役 / ボディマネジメントパートナー)
最終更新日:2026年3月12日

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